○東京都個人情報の保護に関する条例の施行について
平成3年3月26日
2情都個第26号
出納長
知事本局長
各局長
大学管理本部長
病院経営本部長
新銀行設立本部長
中央卸売市場長
東京都個人情報の保護に関する条例の施行について
東京都個人情報の保護に関する条例(平成2年東京都条例第113号。以下「条例」という。)は、平成2年12月21日に公布され、平成3年4月1日から一部を施行し、同年10月1日から全面施行することとなった。
この条例は、個人の権利利益の保護を図るとともに、都政の適正な運営に資するため、都の実施機関が保有する個人情報の開示及び訂正を請求する権利を明らかにするほか、個人に関する情報の取扱いについての基本的事項を定めたものである。
この条例制定の目的にかんがみ、平成3年4月1日施行に係る条例の趣旨及び運用を下記のとおり明らかにしたので、所属職員に周知徹底しその運営に万全を期されたい。
なお、平成3年10月1日施行に係る部分については、おって示達する。
第1条関係(目的)
第1 趣旨
1 本条は、条例の目的を明らかにしたものであり、条例の解釈指針となるものである。各条項の解釈及び運用は、常に本条に照らして行われなければならない。
2 「基本的事項」とは、都の実施機関が保有する個人情報については、収集の制限、適正管理、目的外利用・目的外提供の制限、開示・訂正・利用停止請求権など個人情報保護制度の根幹をなす具体的個別施策のことである。
3 「保有個人情報の開示、訂正、及び利用停止を請求する権利を明らかにする」とは、開示、訂正及び利用停止を請求する権利は、この条例により創設した権利であることから、その重要性にかんがみ、本条においてこれを明示したものである。
この条例により、何人も、都の実施機関が保有する自己の個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する権利が保障される。
4 「民間部門における個人情報の取扱いについての東京都の役割を定め」とは、事業者において個人情報の適正な取扱いが確保されるよう都が一定の役割を果たす責務を有することを明らかにしたものである。
5 「都政の適正な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護する」とは、本条例の定める個人情報保護の規定に基づき個人情報の適正な取扱いを確実に実行することにより、個人の権利利益の保護を的確に図っていくとの趣旨である。
第2 運用
1 個人情報保護制度の意義
個人情報保護制度は、実施機関に対し、個人情報の収集、保有個人情報の管理及び利用・提供の全般にわたり、その適正な取扱いを義務付けるほか、実施機関に個人情報が保有されている者からの請求に応じて、保有個人情報の開示、訂正及び利用停止を義務付けるとともに、民間における個人情報の取扱いについて都の役割を定めるところに意義がある。
2 個人情報保護の総合的な展開
この条例は、個人情報を実施機関が収集する場合、保有個人情報を外部へ提供する場合等の制限を規定し、保有個人情報の適正な管理を図ることにより、伝統的、消極的意味におけるプライバシーの権利を保護するとともに、さらに、自己を本人とする保有個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する権利を保障することにより、積極的に自己の個人情報に関与するいわゆる現代的、積極的意味におけるプライバシーの権利の保護を目指したものであり、これにより、個人の権利利益を守る個人情報保護の総合的な確立を図るものである。
第2条関係(定義)
第1 趣旨
1 第1項は、地方自治法(昭和22年法律第67号)及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)等により、独立して事務を管理し、執行する機関である知事、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、公安委員会、労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会、固定資産評価審査委員会、交通局長、水道局長、下水道局長、警視総監及び消防総監並びに都が設立した地方独立行政法人をもって、個人情報の保護を実施する都の機関(以下「実施機関」という。)としたものである。
2 地方独立行政法人は、公共性の見地から地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業を実施する法人であり、公的部門に属することから、その保有する個人情報の保護を確実にするために、本条例の実施機関としたものである。
3 第2項は、個人情報を定義したものであり、その範囲等を定めたものである。
(1) 「生存する個人に関する情報」とは、氏名、住所、年齢、思想、心身の状況、病歴、学歴、職歴、成績、親族関係、所得、財産の状況その他一切の生存する個人に関する情報をいう。
このうち、本項に定める要件を具備するものが、この条例でいう「個人情報」である。
(2) 「その他の記述等」とは、氏名及び生年月日以外の記述又は個人別に付された番号その他符号等をいう。映像や音声も、それによって特定の個人を識別することができる限りにおいて「その他の記述等」に含まれる。
(3) 「特定の個人を識別することができる」とは、氏名、住所、生年月日、その他の記述等により特定の個人であると明らかに識別することができ、又は識別される可能性がある場合をいう。
(4) 「他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができる」とは、当該情報のみでは特定の個人を識別できないが、他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることをいう。
なお、「他の情報」には、当該実施機関が保有する情報のほか、公知の情報や、図書館等の公共施設で一般に入手可能なものなど通常入手し得る情報が含まれる。
4 第3項は、保有個人情報を定義したものであり、その範囲等を定めたものである。
(1) 「実施機関の職員」とは、知事、行政委員会の委員、監査委員、公営企業管理者、警視総監、消防総監及び都が設立した地方独立行政法人の役員のほか、実施機関の職務上の指揮監督権限に服するすべての職員をいう。
なお、「職員」とは、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第1項に規定する一般職及び特別職の地方公務員、国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する一般職及び特別職の国家公務員並びに地方独立行政法人の職員をいう。
(2) 「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した」とは、実施機関の職員が当該職員に割り当てられた仕事を遂行する立場で、すなわち公的立場において作成し、又は取得したことをいい、文書等に関して自ら法律上の作成権限又は取得権限を有するか否かを問わない。職務には、地方自治法第180条の2又は第180条の7の規定により他の実施機関から委任を受け、又は他の実施機関の補助執行として処理している事務等を含む。また、実施機関の職員自らが作成又は取得した場合のみならず、第8条に定める受託事務に従事している者又は指定管理者に係る公の施設の管理事務に従事している者が、実施機関の職員に代わって作成又は取得した場合も含む。
(3) 「実施機関が保有している」とは、法律上又は事実上あるものを自己の支配下に置いている状態をいう。すなわち、当該個人情報の利用、提供、廃棄等の取扱いについて決定する権限を有していることをいう。当該個人情報を物理的に占有していなくとも、事実上支配している(当該個人情報の利用、提供、廃棄等の取扱いについて決定する権限を有している)状態を含む。したがって、例えば、個人情報が記録されている媒体を倉庫業者等に保管させている場合は、委託した実施機関が保有しているものである。
5 第4項は、公文書を「東京都情報公開条例第2条第2項に規定する公文書」と定義したものである。
<情報公開条例>
第2条
2 この条例において「公文書」とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
一 官報、公報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
二 都の公文書館その他東京都規則で定める都の機関において、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの
(1) 「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録全般をいい、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープなどの媒体に記録され、その内容の確認に再生用の機器を用いる必要がある情報である。
(2) 「当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」とは、当該公文書がその作成又は取得に関与した職員個人段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において業務上必要なものとして利用、保存されている状態のもの(組織共用文書)を意味する。したがって、職員が自己の執務の便宜のために保有する正式文書と重複する当該文書の写しや職員の個人的な検討段階にとどまる資料等は、これに当たらないこととなる。
(3) ただし書は、条例の対象となる公文書から除かれるもの、つまり、条例の適用を除外する公文書について定めたものである。
ア 第1号は、「不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの」を条例の対象外とすることを定めたものである。これらは、一般にその内容を容易に知ることができるものであることから、本制度の対象外とした。
イ 第2号は、一般の行政事務処理上の必要性からではなく、歴史や文化、学術研究といった観点から、その資料的価値に着目して保有されているものを条例の対象外とすることを定めたものである。都の公文書館その他東京都情報公開条例施行規則で定める都の機関において、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているものは、条例の適用除外となる。
6 第5項は、本人を定義したものである。第2項において、「個人情報」とは、「生存する個人に関する情報であって、…特定の個人を識別することができるもの」としており、本項は、第2項で定義される個人情報により識別されることとなる特定の個人を「本人」と定義したものである。
7 第6項は、事業者を定義したものである。国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く法人その他の団体並びに事業を営む個人を本条例における「事業者」としたものである。
第2 運用
1 個人情報の取扱いに伴う個人の権利利益の侵害のおそれは、個人によって異なり、また、利用目的、処理方法等によっても異なり得る相対的なものであることから、個人情報の種類によって対象を限定することは、適当でない。
したがって、この条例においては、広く社会的活動、財産等について個人が有する権利利益を保護の対象とするものである。これにより、個人の事業活動に関する情報、法人その他の団体の構成員としての個人の活動に関する情報、個人の所有物に関する情報も、個人情報としてこの条例の対象となる。
2 条例の趣旨は、すべての個人の権利利益の保護であるため、対象となる個人には、外国人及び法人その他の団体の役員も含まれる。
法人その他の団体の役員に関する情報は、当該団体の機関としての情報でもあるが、この条例においては、役員も個人であるという点に着目して、保護の対象とするものである。
3 組織共用文書の範囲
(1) 作成した文書
職務上の内部検討に付された時点以降のものであって、当該組織において利用可能な状態で保存されているものをいう。具体的には、次のア及びイの両方の要件を満たすものが組織共用文書に該当する。
ア 職務上の内部検討に付された時点以降のもの
(ア) 「職務上の内部検討」とは、課長等一定の権限を有する者(以下「課長等」という。)を含めて行われる内部検討をいう。
(イ) 「一定の権限を有する者」とは、東京都事案決定規程等に規定する事案の決定権を有する者をいい、当該事案を担任する担当課長等が置かれている場合は、これを含むものとする。
(ウ) 課長等が不在の際、東京都事案決定規程等に規定する事案の決定又は審議の臨時代行者が検討に加わった場合は、職務上の内部検討に付されたものとみなす。
(エ) 課長等を含む内部検討に付されていないものであっても、台帳類・帳簿類及び簡易又は定型的な文書等であって当該組織において利用するために作成されたものは、職務上の内部検討に付されたものとみなす。
(オ) 起案文書については、事案の決定権者の指示により作成されるものであるため、起案者により作成された時点で職務上の内部検討に付されたものとみなす。
(カ) 「職務上の内部検討に付された時点以降」とは、組織として説明する責務を果たす観点から、作成した文書が職員の個人的検討の段階を離れ、一定の権限を有する者の関与を経て組織的に用いる文書としての実質を備えることとなった時点以降という趣旨である。
イ 組織において利用可能な状態で保存されているもの
(ア) 実施機関の定める文書管理規則等の規定に基づき、登録等が行われ、保存されているものをいう。ただし、登録等が行われていない場合であっても、共用のファイリングキャビネットや書庫等に保存されているものは、「組織において利用可能な状態で保存されているもの」に該当する。
(イ) 「保存されているもの」には、回付中の文書又は内部検討の途上にある文書を含むものとする。
ウ 具体例
(ア) 事案決定等の手続が終了した文書
(イ) 事案決定等の手続の途中の文書
(ウ) 課長等を含む内部検討に付された段階の素案等
(エ) 庁内の組織間での事務説明用に提出された資料
(オ) 部長会、部内課長会その他課以上の組織をまたがる会議、打合せ等に提出された資料
(カ) 局をまたがる関係部課長会等に提出された資料
(キ) 庁議等に提出された資料
(ク) 審議会、懇談会等の資料
(ケ) 説明会、対外的打合せ等の資料
(コ) 事務マニュアル、業務日程表等組織的に利用する文書
(2) 取得した文書
受領した時点以降のものであって、組織において利用可能な状態で保存されているものをいう。具体的には、次のア及びイの両方の要件を満たすものが組織共用文書に該当する。
ア 受領した時点以降のもの
受領した時点以降のものであれば、必ずしも収受印が押されている必要はない。したがって、会議等で配布された文書は、配布された時点で受領したことになる。
イ 組織において利用可能な状態で保存されているもの
上記(1)イに同じ。
ウ 具体例
(ア) 供覧の手続が終了した文書
(イ) 供覧の手続の途中の文書
(ウ) 会議等で受領した資料
(エ) 申請書、届出書、報告書等(実施機関へ提出された時点で対象となる。)
(オ) 委託契約等の成果物
(3) 電磁的記録の取扱い
電磁的記録についても、上記(1)及び(2)と同様の考え方とする。
ア 情報処理システムのデータ等
汎用コンピュータ、オフィスコンピュータ、サーバー等により処理されている情報処理システム(当該事務処理のために特別に作成されたプログラムを用いてパソコン等により処理を行っているものを含む。)のデータ等については、実施機関が組織的に利用・管理するものと認められるので、原則として組織共用文書に該当する。
イ フロッピーディスク等に記録された文書等
パソコンやワープロで作成された文書等で、フロッピーディスクやハードディスク等(以下「フロッピーディスク等」という。)に記録されたものについては、上記(1)又は(2)の要件に該当する場合は組織共用文書となる。
なお、起案文書や資料等を作成するため、職員が事務処理の過程で補助的、手段的に作成した文書であってフロッピーディスク等に記録されているものについても、組織において利用可能な状態で保存されている場合は、組織共用文書に該当する。
ウ 具体例
(ア) 統計処理等数的処理のために利用しているデータ
(イ) 台帳、事例集等のデータベース
第3条関係(実施機関等の責務)
第1 趣旨
1 本条は、個人情報保護制度を実施するに当たって、実施機関及び実施機関の職員の責務を定めたものである。
2 第1項は、実施機関の責務であり、実施機関は、個人の権利利益の保護を常に念頭に置いて、個人情報の収集、管理及び利用・提供等に当たらなければならない。
3 「個人情報の保護に関し必要な措置」とは、この条例の個人情報の収集、保有個人情報の管理及び利用・提供に関する各制限に従うこと、保有個人情報を取り扱う事務の届出、目録の公表及び閲覧措置、運用状況の公表、職員の意識啓発、事務処理上の改善・整備などを行うことである。
4 「個人情報がみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならない」とは、正当な理由がなく個人情報が公にされることがないよう、公にする場合はその必要性を十分に吟味し、慎重に行う必要があるということである。
5 第2項は、実施機関の職員の責務である。
地方公務員法第34条及び国家公務員法第100条の「秘密」はいわゆる実質秘(形式的に取扱いの指定をしただけでは足りず、非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるもの)と解されている。
この条例は、このような実質秘に当たる情報だけでなく、より広範囲な個人情報が職員により漏えいされ、又は不当な目的に使用されることを防止しようとするものである。
このため、地方公務員法等の守秘義務に加え、本条でさらに職務上知り得た個人情報をみだりに他人に漏らしてはならないこと等を規定したものである。
6 「職務上知り得た」とは、職員が職務執行上知り得たということであり、たとえ担当外の事項であっても職務に関連して知り得たものは含まれる。
7 「みだりに」とは、社会通念上適当な理由があると認められない場合をいい、「みだりに他人に知らせ」るとは、他人に知らせることが、自己の権限・事務に属しない場合、あるいは、自己の権限・事務に属する場合であっても、正当な理由がなく知らせる場合などをいう。
8 「不当」とは、相当でないこと、妥当でないことをいい、「不当な目的に使用」するとは、職員が自己の利益のために個人情報を使用する場合、あるいは他人の正当な利益や社会公共の利益に反して個人情報を使用する場合などをいう。
9 「知事その他の執行機関」とは、知事、行政委員会、監査委員をいう。
10 本項及び第八章において事業者において適正な取り扱いが確保されるべき「個人情報」は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)第2条第1項に規定する個人情報をいう。
11 「必要な措置」とは、この条例の第8章に定める、事業者及び都民に対する意識啓発その他必要な施策の普及促進、事業者の取り扱う個人情報についての苦情の処理などを行うことである。
12 個人情報の不適正な取扱いをした実施機関の職員等については、本条例第34条から第36条までに規定する罰則の適用があり得る。
第2 運用
地方公務員法、国家公務員法又は地方独立行政法人法の適用を受ける職員には、地方公務員法等に基づく職員の服務規律としての守秘義務に重ねて、この条例により個人情報保護の観点からの義務が課されたことになる。
また、地方公務員法等の適用を受けない職員は、この規定によって個人情報保護についての義務が課されることになる。
第4条関係(収集の制限)
第1 趣旨
1 第1項は、個人情報の収集について、事務の執行上必要な範囲内で、適法かつ公正な手段によるべきものとする、収集の基本原則を定めたものである。
2 「個人情報を収集する」とは、事務の執行に必要な個人情報を取得することをいう。その収集の契機としては、法令等に基づく届出、申請、申告、申込み、相談、検診、調査等があるが、それが視聴等による場合は、その結果等を記録することにより、個人情報を収集することになる。
3 「個人情報を取り扱う事務の目的を明確にし」とは、収集を始めるに際し、内部規制として、事務を所管する部署において事務の目的を確認することにより、事務の執行に必要な個人情報を特定することである。
なお、具体的外部への現れとして、条例第6条の規定による公表や目録への登載により個人情報を取り扱う事務の目的を都民に明らかにすることとなる。
4 「当該事務の目的を達成するために必要な範囲内」とは、当該個人情報を取り扱う事務を執行していく上で、目的達成上必要とされる個人情報の記録項目の範囲をいい、過剰な収集を禁ずる趣旨である。
5 「適法かつ公正な手段」とは、法規に適合し、かつ、公平で正しい手段をいう。
6 第2項は、原則として収集制限すべき個人情報を定めたものである。いずれも、憲法上の自由権、平等権にかかわるものであり、この中には同和問題に係る個人情報も含まれており、個人の権利利益の侵害に直結するおそれの強いものであるので、特に収集を制限する規定を設けたものである。
7 「法令」とは、法律及び政令、府令、省令、その他国の機関が定めた命令をいう。
8 「個人情報を取り扱う事務の目的を達成するために当該個人情報が必要かつ欠くことができない場合」とは、事務の目的達成のために、個人情報の収集が必要であり、当該個人情報を欠いてしまうと、事務の執行ができなくなる場合をいう。
9 第3項は、個人情報の収集先について、本人からの収集を原則とするとともに、その例外となる場合を明らかにしたものである。
(1) 第1号の「本人の同意があるとき」とは、他から自己の個人情報を収集することについて、本人が文書又は口頭により同意している場合をいう。
(2) 第2号の「法令等に定めがあるとき」には、法令等で本人以外から収集できることを明らかに定めている場合はもとより、法令等の趣旨、目的により本人以外から収集できると解される場合も含まれる。
(3) 第3号の「出版、報道等により公にされている」とは、新聞、書籍、テレビ、ラジオ等により、何人でも取得し、又は知り得る状態にあり、その公知性に疑義がないことをいう。このため、公にされている個人情報は、当該出版物等から収集できることとしたものである。
「出版、報道等」の「等」は、講演会、演説会などを指す。
なお、個人に関する情報が記載された出版物を取得する場合等における取扱いについては、条例第30条第5項に定めるところによるものである。
(4) 第4号の「生命、身体又は財産の安全を守るため」とは、火災又は地震等の災害による生命、身体又は財産の損失のおそれのほか、犯罪等の人為的危険などから個人を守ることをいう。
また、「緊急かつやむを得ない」とは、危険を避けるため個人情報を本人から収集する時間的余裕のない場合などである。
(5) 第5号は、本人が所在不明のため本人から収集することが不可能な場合及び本人が精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く者、乳幼児等で意思を表明できないため事実上本人から収集することができない場合のために設けたものである。
(6) 第6号は、争訟のように相手と争っている場合は相手の主張等は裁判所等を通じて収集し、選考の場合は例えば入学試験等では内申書として収集し、また、指導等の場合は両親や友人等から収集する必要性が考えられるが、このように本人から収集したのでは事務が公正、正確に行われないなど事務の目的を達成し得ない場合、又は本人から収集して事務を執行することも可能ではあるが、多大な時間と経費を要し事務の執行が困難になるなど事務の適正な執行に支障が生ずる場合のために設けた規定である。
(7) 第7号は、収集する相手方が公の機関であることを考慮して設けたものではあるが、たとえ相手方が公の機関であっても、個人情報の取扱いには十分配慮すべきとするのが、本号の趣旨であり、「本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められるとき」との制限を付している。
第2 運用
1 内部規制として個人情報を取り扱う事務の目的を確認することにより、必要な個人情報、不必要な個人情報がおのずから明らかとなる。これにより、過剰な収集に歯止めをかけるものとする。
2 個人情報の収集に当たっては、書面によるときは様式に記載しておくなど、利用目的を明示し、相手方に対して、誤解や疑念を抱かせることのないよう努めなければならない。ただし、利用目的の明示により、事務の適正な遂行に支障を生じることとなる場合はこの限りでない。
3 出版、報道等から収集する場合であっても、安易に収集することなく、誤った情報でないことを十分調査するなど、正確で最新な情報の収集に留意すること。
4 第3号各号のいずれかに該当する場合は、本人以外から収集することができるものであるが、第6号などその適用に当たっては、濫用にわたらないよう十分留意すること。
第5条関係(保有個人情報取扱事務の届出)
第1 趣旨
1 本条は、実施機関は、保有個人情報を取り扱う事務について、開始、変更又は廃止があったときは、知事に届け出る義務があることを定めたものである。
2 「保有個人情報を取り扱う事務」とは、事業の実施に伴って、個人情報を収集し、管理し、又は利用する事務をいう。
実施機関は、保有個人情報を取り扱う事務を開始しようとするとき、変更しようとするとき又は廃止したときは、保有個人情報取扱事務届出書(東京都個人情報の保護に関する条例施行規則(平成3年東京都規則第21号。以下「施行規則」という。)別記様式)により知事に届け出なければならない。
第1項は、届出事項を具体的に定めたものである。この届出により、知事は、全実施機関の保有個人情報を取り扱う事務を正確に把握することができるとともに、実施機関自らにおいても、保有個人情報を明確に把握することにより、その収集の必要性や収集範囲を再確認することが可能となる。
さらに、届出等の手続を通じて、慎重かつ責任をもって保有個人情報を取り扱うことが期待できる。
3 第6号の「規則で定める事項」とは、施行規則第2条に定める次の事項である。
・ 保有個人情報を取り扱う事務の開始又は変更の年月日
・ 保有個人情報の処理形態
・ 保有個人情報の主な収集先
・ 保有個人情報の経常的な目的外利用・提供先
・ 保有個人情報の処理の委託及び再委託の有無
・ 保有個人情報の処理の指定管理者による代行の有無
4 第2項の「職員であった者」とは、退職、失職又は免職により実施機関の職員としての身分を失った者をいう。
5 「実施機関の職員又は職員であった者に係る事務」とは、実施機関の職員又は職員であった者に係る一切の事務をいい、人事、給与、福利厚生等に関する次のような事務がその代表例として挙げられる。
これらの事務には、例えば、職員に対する手当支給事務において職員の家族の個人情報が取り扱われるように、その目的により職員又は職員であった者以外の者に係る個人情報を取り扱うようなものもある。
本項は、その執行上職員又は職員であった者に関する個人情報を取り扱うこととなるこれらの事務については、職員の人事管理のためのものであり、使用者としての実施機関と被用者としての職員との関係に基づく内部的な情報であること、また、その存在及び利用方法も一般的に当事者である職員にはよく知られていることから、届出の適用除外とすることを規定したものである。
・服務に関すること。
・表彰等に関すること。
・諸証明に関すること。
・任用退職等に関すること。
・人事記録に関すること。
・定数に関すること。
・分限、懲戒等に関すること。
・評定に関すること。
・給与、手当に関すること。
・恩給、退職手当に関すること。
・被服の貸与に関すること。
・公務災害補償に関すること。
・安全、衛生に関すること。
・衛生管理に関すること。
・非常勤職員の社会保険に関すること。
第2 運用
1 保有個人情報取扱事務の開始、変更又は廃止に伴う届出は、局等の個人情報保護主管課を経由して、生活文化局広報広聴部情報公開課に届け出ることにより行うものとする。
2 事務の届出は、原則として、課ごとに届け出るものとする。この場合、事務の内容を端的に表すよう、予算項目又は東京都組織規程(昭和27年東京都規則第164号。以下「組織規程」という。)等に定める事務を単位として届け出るものとする。
なお、同一の事務を複数の部署が行っている場合、例えば、組織規程別表4に規定する地方行政機関のように同一の事務を地域割りで実施しているものについては、局で統一的な届出を行うことができることとする。
3 保有個人情報を取り扱う事務を開始する場合は、東京都情報公開・個人情報保護審議会規則(平成11年東京都規則第232号。以下「審議会規則」という。)に基づき、原則として東京都情報公開・個人情報保護審議会の意見を聴くものとする。
4 情報公開課においては、届出に基づき、条例第6条の規定による目録を作成(加除訂正を含む。)し、一般の閲覧に供するものとする。
5 「犯罪の予防、鎮圧又は捜査、被疑者の逮捕、交通の取締りその他の公共の安全と秩序の維持に係る事務」であっても、運転免許証の申請に関する事務、道路使用許可申請に関する事務等、事務の名称、目的、保有個人情報の記録項目等を明らかにしても、当該事務の適正な遂行に支障がないと認められる事務については、届出を行うことができるものとする。
第6条関係(公表及び閲覧)
第1 趣旨
1 本条は、知事は、保有個人情報取扱事務の届出に係る事項について目録を作成して、公表し、実施機関の個人情報の保有状況を都民に対し明確にし、かつ、都民がいつでも閲覧できるようにする責務があることを明らかにしたものである。
第2 運用
情報公開課においては、各実施機関が届け出た事項を取りまとめた目録を作成し、また、各実施機関から個人情報を取り扱う事務の開始、変更又は廃止の届出があった場合には、当該目録の加除訂正をすることにより、全実施機関が現に行っている事務とその内容を一致させるものとする。
第7条関係(適正管理)
第1 趣旨
1 第1項は、実施機関は、保有個人情報を取り扱う事務の目的を達成するために必要な範囲内で、保有個人情報を正確かつ最新の状態に保つよう努める義務があることを明らかにしたものである。
2 第2項は、実施機関は、保有個人情報を漏えい、滅失及びき損することなどがないように必要な措置を講じ、適正に管理する義務があることを明らかにしたものである。
3 第3項は、実施機関は、歴史的資料として保有される場合を除き、事務を執行する上で保存する必要がなくなった保有個人情報は、速やかに消去し、これを記録した公文書を廃棄する義務があることを明らかにしたものである。
4 「保有の必要がなくなった」とは、公文書の保存年限が終了した場合及び当該個人情報を今後事務処理に使用する必要がなくなった場合はもとより、権利義務関係を明確にしておく必要がなくなったことその他の理由により一定期間保存する必要がなくなったことをいう。
5 「歴史的資料として保有される」とは、東京都公文書館において都の発展経過を示す資料として保有される場合などをいう。
第2 運用
1 保有個人情報を取り扱う事務は、原則として課ごとに届け出るものであることなどから、保有個人情報の適正な管理をするために、当該事務をつかさどる課長等の指揮監督により、必要な措置を講ずるものとする。
2 事務の目的を達成するのに必要でない場合は、必ずしも正確、最新であることを要しないものである。
3 保有個人情報を記録した公文書は、施錠のできる保管庫等に厳重に保管するものとする。
4 保有個人情報を記録した公文書は、庁舎外に持ち出してはならないものとする。ただし、事務の遂行上必要と認められる場合は、この限りでない。
5 前項ただし書の規定により、庁舎外に持ち出す場合は、盗難又は紛失を防止するための安全確保措置を講ずるものとする。
6 情報処理システムの安全確保については、東京都サイバーセキュリティ基本方針等を踏まえて策定された内部管理規程の定めによることとする。
7 廃棄に当たっては、第三者が当該廃棄物を入手することにより保有個人情報が他に漏えいすることのないよう、裁断等により確実に処理するものとする。
第8条関係(委託等に伴う措置)
第1 趣旨
1 都の事務事業の中には、専門性、迅速性、経済性などから住民サービスの向上のために都の外部の事業者に事務を委託することがある。このため、本条は、実施機関は、個人情報を取り扱う事務を業者に委託しようとするときは、個人情報を保護するために必要と思われる措置を講じる義務があることを明らかにしたものである。
2 「個人情報を取り扱う事務」とは、委託しようとする事務の中に個人情報が含まれるすべての場合をいう。
例えば、配送委託のように、対象者の名簿を配送業者に渡すなど、主たる作業に付随する資料として保有個人情報が提供される場合も含まれる。
3 「公の施設」とは「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」であり、普通地方公共団体が設けるものとして地方自治法第244条で定められている。
指定管理者制度は、公の施設の管理について、広く民間のノウハウを活用し、サービスの向上等の実現を図るものである。公の施設は都立施設であることは変わりはないため、実施機関は、指定管理者に公の施設の管理を行わせようとするときは、個人情報を保護するために必要な措置を講じる義務があることを明らかにしたものである。
4 「個人情報の保護に関し必要な措置」とは、委託を受けた者及び指定管理者(以下「受託者等」という。)を選定するに当たり必要な調査を行うこと、委託契約等において契約書、協定書、確認書、覚書その他これらに類する書類(以下「契約書等」という。)に安全管理、秘密の厳守等個人情報保護について必要な事項を明記し、受託者等に個人情報保護について責務を課すことなどである。
5 「受託者等に対する十分かつ適切な監督」とは、受託者等に対し、契約書等に明記した措置の遵守状況について履行中に適宜報告を求めること、また、必要があると認める場合には、受託者等に対して実地の調査を行うことなどである。
第2 運用
1 個人情報を取り扱う事務を委託するとき、又は指定管理者に公の施設の管理を行わせるときは、契約書等(必要に応じて仕様書を含む。)には、当該委託等の趣旨、目的に応じて、次の事項を記載するものとする。
・ 個人情報の秘密保持に関すること。
・ 個人情報の目的外利用及び第三者への提供の禁止に関すること。
・ 再委託における条件に関すること。
・ 個人情報の複写及び複製の禁止に関すること。
・ 提供資料の返還義務
・ 個人情報の管理方法の指定
・ 個人情報の管理状況について、必要に応じて職員が立入調査できること。
・ 事故発生時における報告義務
・ 従事者に対する教育・研修義務
・ 義務違反又は義務を怠った場合における契約解除等の措置及び損害賠償に関すること。
・ その他当該契約において必要とする個人情報の保護に関する事項
2 指定管理者の募集に際しては、応募者が個人情報保護について十分に理解して事業計画に反映できるように、募集要項等に記載するとともに協定等で規定する。これらの規定については、必要に応じて、情報公開課と調整するものとする。
第8条の2関係(再委託)
第1 趣旨
1 第1項は、受託者等が受託事務等の全部又は一部の再委託をしようとする場合の要件として、実施機関の許諾を得た場合に限って、再委託をすることができる旨を明らかにしたものである。
2 第2項は、再委託を受けた者は受託者等とみなして、第1項に規定する再委託の際の要件及び第9条に規定する受託者等の責務について、適用を受ける旨を明らかにしたものである。
再委託を受けた者が、更に受託事務等を再委託しようとする場合であっても、当該再委託を受けた者は受託者等とみなされることとなるため、再委託を行う際には、実施機関の許諾を得なければならない。
3 実施機関は、受託者等に対する監督義務だけでなく、再委託先に対しても間接的に監督義務を負うことになる。
第2 運用
1 再委託については、再委託を受ける者において保有個人情報を適切に管理する能力を有することが確認できた場合に認めるものとする。
その場合、保有個人情報の取扱いに係る態様について実施機関が十分管理できるよう、あらかじめ再委託の内容及び再委託先等について実施機関の許諾を求めるなどの措置が必要であり、その旨契約書等に明記するものとする。
2 再委託を行うに当たっては、受託者等が再委託を受けた者に対して必要かつ適切な監督を行っているか等について、職員に監督させるものとする。
第9条関係(受託者等の責務)
第1 趣旨
1 本条は、都の実施機関が保有する個人情報の保護対策の一貫性を確保し、個人の権利利益を保護するため、受託者等、受託事務従事者等及び公の施設の管理事務従事者等の責務を明らかにしたものである。
2 第1項は、受託者等について、条例第7条第2項に規定する実施機関と同様の安全確保の義務を明らかにしたものである。
3 第2項は、受託事務に従事している者若しくは従事していた者又は公の施設の管理事務に従事している者若しくは従事していた者について、条例第3条第2項に規定する実施機関の職員と同様の責務を明らかにしたものである。
4 第3項は、受託者等が受託事務等の全部又は一部の再委託をする場合において、受託者等は再委託を受けた者に対して、条例第8条に規定する実施機関と同様の監督責任を負うことを明らかにしたものである。
第10条関係(利用及び提供の制限)
第1 趣旨
1 第1項及び第2項は、実施機関が、届出を行った事務の目的を超えて保有個人情報を当該実施機関内で利用すること(以下「目的外利用」という。)及び届出を行った事務の目的を超えて保有個人情報を当該実施機関以外のものに提供すること(以下「目的外提供」という。)を原則として禁止するとともに、その例外として、目的外利用又は目的外提供をすることができる場合を明らかにしたものである。
都が都民のために事業を行うに当たり、都民の負担の軽減など本人の利益や能率的な行政を考慮すると、既に収集している保有個人情報の目的外利用又は目的外提供をすることが適当な場合があり得る。そこで、一定の制限の範囲内で、これを認めるものとしたものである。
(1) 各項第1号の「本人の同意があるとき」とは、目的外利用又は目的外提供をすることについて、本人が文書又は口頭により同意している場合をいい、個々の対象者に個別に、又は対象者全体に対して、事前に他の目的に利用又は提供をすることがある旨を説明した上で、収集する場合を含むものである。
(2) 各項第2号の「法令等に定めがあるとき」には、法令等で目的外利用又は目的外提供をすることができることを明らかに定めている場合はもとより、法令等の趣旨、目的により目的外利用又は目的外提供をすることができると解される場合も含まれる。
(3) 各項第3号の「出版、報道等により公にされている」とは、新聞、書籍、テレビ、ラジオ等により、一般に、取得し、又は知り得る状態にあり、その公知性に疑義がないことをいう。
(4) 各項第4号の「生命、身体又は財産の安全を守るため」とは、火災又は地震等の災害による生命、身体又は財産の損失のおそれのほか、犯罪等の人為的危険などから個人を守ることをいう。
また、「緊急かつやむを得ない」とは、危険を避けるためには、個人情報の目的外利用又は目的外提供をする以外に適当な手段がなく、かつ、時間的余裕のない場合などである。
(5) 各項第5号の「専ら学術研究又は統計の作成のため」とは、保有個人情報を利用する者や提供を受けた者が、専ら統計の作成や学術研究のために保有個人情報を利用することを目的としており、その利用に供するために目的外利用又は目的外提供をする場合である。
なお、本号の「統計」は、条例第30条第4項の規定の適用を受けない統計のことである。
(6) 各項第6号は、実施機関、国及び地方公共団体等は、法律、条例等の定めるところにより事務を執行しており、その執行に当たり都民の負担の軽減、行政サービスの向上や行政の迅速性などを図る観点から個人情報を同一実施機関内で利用し、あるいは、他の機関から個人情報の提供を受けて利用する場合があるが、この条例は、公の機関内の個人情報の利用・提供についても、個人の権利利益保護の観点から制限を加えているものであるから、目的外利用又は目的外提供をする場合には、目的外利用先の事務又は目的外提供先の事務の目的に必要な限度で使用し、かつ、使用することに相当な理由があるときに限って認めることとしたものである。
「実施機関等」の「等」は、東京都議会を指す。
「相当な理由がある」とは、社会通念上、客観的にみて合理的な理由のあるときである。相当な理由があるかどうかは、個人情報の内容や当該個人情報が使用される目的などを勘案して、個別に判断する必要がある。
2 第3項は、第1項各号又は第2項各号の規定に該当して目的外利用又は目的外提供をする場合であっても、それが本人や第三者の権利利益を不当に侵害してはならないことを明らかにしたものである。
「第三者の権利利益を不当に侵害する」場合としては、例えば、第三者が実施機関に提供したある個人情報について、実施機関が他の機関へ提供することが当該第三者(情報を提供した者)の権利利益を害することになると認められる場合などが挙げられる。
第2 運用
1 目的外利用又は目的外提供をする場合には、原則として利用又は提供の相手方に、利用目的、利用方法、必要とする個人情報の内容及び人数などを明記した文書の提出を求めるなど、目的外利用又は提供の判断に当たってはその必要等を十分に吟味し、慎重に行う必要がある。
2 目的外利用又は目的外提供をする場合には、必要に応じ、利用又は提供の相手方に対し、使用目的や方法など必要な条件を付すこと。
3 本人の同意による場合における事前に他の目的に利用又は提供をすることがある旨の説明の方法としては、一般的には、個人情報を収集する際に調査票、申告書等に他の目的に利用し、又は提供をすることがある旨を明示し、同意を求めることなどが考えられる。
4 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)や弁護士法(昭和24年法律第205号)に基づく照会は、法令等の趣旨、目的により相手方に報告すべき義務を課すものと解される。
5 特定の者のみを対象として作成・配付されているものなどの公知性に欠けるものは、出版、報道等により公にされているとして目的外利用又は目的外提供をすることができないものであるから、留意すること。
6 学術研究又は統計の作成のために目的外利用又は目的外提供をする場合は、利用者や受領者に対して、公表する際は個人が識別できない形で行うことを条件に付するなど、個人の権利利益の侵害とならないよう留意すること。
第11条関係(外部提供の制限)
第1 趣旨
1 実施機関は、この条例が直接適用されるものであり、適正管理等の規制を受けるものである。
一方、実施機関以外のものへの提供の場合は、提供を受ける実施機関以外のものに対しては、条例の拘束が直接及ぶものではないことから、「実施機関以外のもの」への提供について、その取扱いを定めたものである。
2 第1項は、実施機関は、届出を行った事務の目的内であると目的外であるとを問わず、実施機関以外のものへの保有個人情報の提供(以下「外部提供」という。)をするときは、個人情報に対する適切な取扱いを確保するため、相手方に対して、必要な措置を講ずることを求める義務があることを明らかにしたものである。
3 「必要な措置」とは、提供される個人情報の保護についての職員に対する指導の徹底、内部管理規程の整備、電子計算機による処理の場合におけるアクセス制限の措置などを講ずることである。
4 第2項は、通信回線による電子計算組織の結合(以下「オンライン」という。)による処理は、都民サービスの向上と事務処理の効率化に大きな成果を発揮しているが、その反面で、情報の利用が簡単にできることなどから、プライバシー保護のための安全対策が必要であるので、実施機関が、オンラインによる外部提供をする場合について、事務の執行上必要かつ適切と認められること及び提供する相手方に個人情報保護のために必要な措置が講じられていることを条件として定め、この条件を満たす場合には、オンラインによる外部提供を行うことができる旨を明らかにしたものである。
5 「必要かつ適切」とは、その方法によることが、事務の目的内容にかんがみ、必要で、かつ、ふさわしいものであることをいう。具体的には、住民サービス向上のために、個人情報をオンラインにより処理することが、迅速性、利便性の理由から社会通念上是認されるなど単に必要性の有無のみでなく、保有個人情報を取り扱う事務の具体的内容に照らしふさわしいものであるか否かも判断の要素とすべきとの趣旨である。
6 「必要な保護措置が講じられている」とは、個人情報保護のための規程が定められていること、安全のための措置が講じられていることなどをいう。安全のための措置とは、例えば、アクセス制限、情報の内容の暗号化等が図られていることである。
7 「通信回線による電子計算組織の結合」とは、オンライン処理を指す。オンライン処理とは、電子計算組織と端末機を通信回線(光ケーブルなどを含む。)で結び、データの発生するところから端末機等により直接入力をし、又は入力をした結果を必要とするところに直接出力させる方法をいう。
第12条関係(開示を請求できる者)
第1 趣旨
1 本条は、保有個人情報の開示を請求できる者及び開示を請求できる個人情報の範囲を定めたものである。
2 第1項は、誰でも実施機関に対して、自己を本人とする保有個人情報の開示を請求する権利を有していることを明らかにしたものである。
3 「何人も」とは、都民であると否とを問わず実施機関において自己を本人とする保有個人情報が保有されているすべての個人をいう。
4 「自己を本人とする保有個人情報」とは、自分がその情報の本人となっている場合の保有個人情報をいう。
情報の本人である場合とは、自己の氏名、住所、識別番号等によって帳票等が作成され、自己の個人情報が記録されている場合はもとより、自己以外のものの氏名、住所、識別番号等によって作成されている帳票等の中に自己の個人情報が記録されている場合も含むものである。
5 第2項本文は、本人請求の例外として、未成年者又は成年被後見人の法定代理人のみが、被代理人の個人情報の開示を請求できる旨を明らかにしたものである。個人情報の開示制度は、自己の個人情報を本人からの請求により、当該本人に対して開示するものであり、本人保護の観点から代理請求できる者を限定したものである。
6 「未成年者」とは、年齢が成年すなわち満20年に達しない者をいう(民法(明治29年法律第89号)第4条)。
7 「成年被後見人」とは、民法第7条の規定により後見開始の審判を受けた者をいう。
8 「法定代理人」とは、民法上の法定代理人である。
未成年者の法定代理人は、第一次的には親権者(民法第818条等)、第二次的には未成年後見人(民法第839条等)である。
また、成年被後見人の法定代理人は、成年後見人(民法第843条等)である。
9 第2項ただし書は、法定代理人による開示請求が、本人の利益に反することが明確である場合には、当該法定代理人の開示請求権を認めない旨を明らかにしたものである。
第2 運用
1 自己と自己以外のものの関係が、その内容において不可分の状態で記録されている場合など、自己以外のものの情報と自己自身の情報が合一して自己についての保有個人情報を形成している場合は、当該自己以外のものの情報も含めて、自己を本人とする保有個人情報とする。
2 死者に関する情報については、請求者自身の保有個人情報であると考えられる情報及び社会通念上請求者自身の保有個人情報とみなせるほど請求者と密接な関係がある情報を、自己を本人とする保有個人情報に含むものとする。
(1) 請求者自身の保有個人情報であると考えられる情報とは、次のものをいう。
ア 請求者が死者である被相続人から相続した財産に関する情報
イ 請求者が死者である被相続人から相続した不法行為による損害賠償請求権等に関する情報
ウ 近親者固有の慰謝料請求権など、死者の死に起因して、相続以外の原因により請求者が取得した権利義務に関する情報
(2) 社会通念上請求者自身の保有個人情報とみなせるほど請求者と密接な関係がある情報とは、次のものをいう。
死亡した時点において未成年であった自分の子に関する情報
3 法定代理人による開示請求については、次の二つの要件を満たす場合には、本人の利益に反することが明確であるとして、原則として請求を却下するものとする。
(1) 本人の情報を当該法定代理人に開示することにより、本人の生命、身体又は財産その他の権利利益に重大な支障が生じるおそれがあると実施機関が判断することに相当な理由があること。
(2) 満15歳以上の未成年者の法定代理人からの開示請求にあっては、当該未成年者本人が保有個人情報を開示することに同意していないこと。
第13条関係(開示請求方法)
第1 趣旨
1 本条は、保有個人情報の開示についての具体的な請求方法を定めたものである。実施機関は、本条に基づく手続により自己を本人とする保有個人情報の開示の請求を受けた場合は、原則として開示をしなければならないものである。
2 第1項は、開示請求に際しては、保有個人情報開示請求書(知事が保有する個人情報の保護等に関する規則(平成3年東京都規則第22号。以下「保護規則」という。)別記第1号様式)に必要事項を記載して提出する必要があることを明らかにしたものである。
3 第1項各号に掲げる事項は、保有個人情報開示請求書に記載すべき事項であり、開示請求をする上で必要な事項である。
4 第2項は、個人に関する情報が誤って他人に開示されてしまうと、本人が不測の権利利益侵害を被る場合もあるため、開示請求をしようとする者は自己が当該開示請求に係る保有個人情報の本人又はその法定代理人であることを証明する書類を提出し、又は提示する必要があることを明らかにしたものである。
「証明するために必要な書類で実施機関が定めるもの」とは、保護規則第3条に定める書類である。
5 第3項は、開示請求書に形式上の不備がある場合の補正手続について定めたものである。
(1) 「開示請求書に形式上の不備があると認めるとき」とは、記載事項に漏れがある場合や、「開示請求をしようとする保有個人情報を特定するために必要な事項」の記載に不備があり開示請求に係る保有個人情報を特定することができない場合等をいう。
(2) 「相当の期間」とは、開示請求者が補正をするのに足りる合理的な期間をいう。
(3) 「補正の参考となる情報」とは、情報公開条例第41条に規定する文書検索目録、条例第6条に規定する保有個人情報取扱事務の届出事項に係る目録(以下「保有個人情報取扱事務目録」という。)その他開示請求者が保有個人情報を特定するために必要な情報をいう。
第2 運用
1 郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する信書便(以下「郵便等」という。)による開示請求は、請求者本人の確認が十分行えないことから、特に必要があると認める場合を除いて認めないものである。
2 自己を本人とする保有個人情報についての相談に応じる事務などで、その事務の遂行上、本人に自己を本人とする保有個人情報の提示を行うことが必要である場合には、この条例による開示請求権の行使を要さずに、自己を本人とする保有個人情報についての相談等に応じることができるものである。
ただし、当該保有個人情報が条例第16条各号のいずれかに該当する場合は、提示を行わないものである。
自己を本人とする保有個人情報の提示を行う場合、相談者等が当該保有個人情報の本人であることの確認は、この条例に基づく開示請求又は訂正請求の場合と同様に厳格に行うものである。
3 開示請求者は、一般的に行政実務に通じていないことから、「開示請求をしようとする保有個人情報を特定するために必要な事項」を的確に記載することは困難な場合が多い。したがって、実施機関は、文書検索目録や保有個人情報取扱事務目録の案内及び開示請求者と連絡を取り合うなど、保有個人情報を特定するために必要な情報を積極的に提供する必要がある。
第14条関係(開示請求に対する決定)
第1 趣旨
1 本条は、開示請求のあった保有個人情報について実施機関が行う開示決定等(条例第14条第1項の決定をいう。以下同じ。)についての手続を定めたものである。
2 第1項は、実施機関は、開示請求があった日の翌日から起算して14日以内に開示決定等をする義務があることを明らかにしたものである。
3 「開示請求に係る保有個人情報の全部若しくは一部を開示する旨の決定又は開示しない旨の決定」とは、実施機関が、請求のあった保有個人情報が条例第16条各号のいずれかに該当する情報であるか否か、存否応答拒否(条例第17条の3の決定をいう。以下同じ。)をするか否か、又は当該保有個人情報が記録された公文書を保有しているか否か等を判断又は確認した上、開示決定等をすることである。
4 第2項は、第1項の決定については、遅滞なく書面により開示請求者に通知する義務があることを明らかにしたものである。
5 第3項は、やむを得ない理由があるときは、第1項に規定する期間を延長することができる旨及び延長する場合は、その旨を開示請求者に対し、書面により速やかに通知しなければならない旨を規定したものである。
6 「やむを得ない理由」とは、実施機関が、保有個人情報の開示の請求に対して、開示決定等をするよう誠実に努力しても、第1項に規定する期間内に当該決定をすることができないおおむね次のような場合をいう。
(1) 一度に多くの種類の請求があり、開示請求に係る保有個人情報を期間内に検索することが困難であるとき、又は請求のあった保有個人情報の内容が複雑で、期間内に開示決定等をすることが困難であるとき。
(2) 請求があった自己を本人とする保有個人情報として、自己以外のものの情報が記録されている場合等で、当該自己以外のものの意見を聴く必要があり、期間内に開示決定等をすることが困難であるとき。
(3) 満15歳以上の未成年者の法定代理人による開示請求がなされた場合であって、開示決定等の判断にあたって、当該開示請求に係る当該未成年者の同意を確認するための手続に時間を要し、期間内に開示決定等をすることが困難であるとき。
(4) 天災等の発生、一時的な業務量増大等のため、期間内に開示決定等をすることが困難であるとき。
(5) 年末年始等執務を行わないときその他の合理的な理由により、期間内に開示決定等をすることが困難であるとき。
7 「60日を限度としてその期間を延長することができる」とは、やむを得ない理由により、第1項に規定する期間内に開示決定等をすることができない場合であっても、開示請求があった日の翌日から起算して、60日以内に当該決定をしなければならないとする趣旨である。したがって、期間延長の通知の後に開示決定等をしたときは、第2項の規定により遅滞なく開示請求者に開示決定等の通知をしなければならない。
なお、この期間延長を再度行うことはできない。
8 「延長の理由を請求者に通知しなければならない」とは、やむを得ない理由により、第1項に規定する期間を60日を限度として延長する場合、その理由を開示請求者に通知することを実施機関に義務付ける趣旨である。
9 第4項は、開示請求に係る保有個人情報が著しく大量であるため、開示請求があった日から60日以内にその全てについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある場合における開示決定等の期限の特例を定めたものである。
(1) 「開示請求に係る保有個人情報が著しく大量である」とは、開示請求を処理する部署において、開示決定等に関する事務を60日以内に処理しようとすると、当該部署の通常事務の遂行に著しい支障が生じる程の量をいう。
(2) 「事務の遂行に著しい支障が生じる」とは、通常生じる支障の程度を超えた、業務上看過し得ない支障をいう。
(3) 「相当の部分」とは、本項が、開示請求に係る保有個人情報について、開示決定等を分割して行うことを認めた趣旨に照らし、実施機関が60日以内に努力して処理することができる部分であって、開示請求者の要求をある程度満たすまとまりのある部分をいう。
(4) 「相当の期間」とは、残りの保有個人情報について、実施機関が処理するために必要な合理的期間をいう。
(5) 「本項を適用する旨及びその理由」には、開示請求に係る保有個人情報が著しく大量であること、開示請求があった日から60日以内にその全てについて開示決定等をすることが、通常の行政事務の遂行に著しい支障を及ぼすことを具体的に記載するものとする。
10 第5項は、第1項の規定により開示請求に係る保有個人情報の全部又は一部を開示しないときは、第2項の規定による通知書に、その理由を付記する必要があること、また、その場合は、開示しない根拠規定及びこれを適用する理由を客観的に理解できる程度に記載しなければならないことを定めたものである。
(1) 「第1項の規定により開示請求に係る保有個人情報の全部又は一部を開示しないとき」には、開示請求に係る保有個人情報の全部又は一部を開示しない旨の決定をする場合のほか、不存在の決定及び存否応答拒否をする場合を含むものである。
(2) 不存在決定の理由としては、開示請求に係る公文書の不作成、未取得、廃棄等又は公文書に当該個人情報が記録されていない場合等がある。
(3) 存否応答拒否をする場合の理由は、当該開示請求に係る保有個人情報が仮に存在する場合、どの非開示条項に該当し、当該保有個人情報の存在等を明らかにすることがなぜ非開示情報を明らかにすることになるのかを示さなければならない。
11 第6項は、保有個人情報に当該実施機関以外のものとの間における協議、協力等により作成し、又は取得した個人情報があるときは、決定に先立って、協議・協力先の意見を聴くことができる旨を明らかにしたものである。
協議・協力先の意見を聴くことによって、慎重かつ公正な開示決定等をすることとする趣旨である。
また、意見を聴いた協議・協力先に対して、開示決定等についての同意権を与えたものではない。
12 第7項は、開示請求に係る保有個人情報に開示請求者(未成年者又は成年被後見人の法定代理人が本人に代わって開示請求をする場合には、当該本人をいう。)以外のものに関する情報が含まれている場合は、当該保有個人情報に係る当該開示請求者以外のものに対し、意見書を提出する機会を与えることによって、慎重かつ公正な開示決定等をすることとする趣旨である。ただし、実施機関に対して、開示請求者以外のものに意見書を提出する機会を与えることを義務付けるものではなく、また、意見書を提出した当該開示請求者以外のものに開示決定等についての同意権を与えたものではない。
13 第8項は、前項の規定により意見書提出の機会を与えられた当該開示請求者以外のもの(都、国、独立行政法人等、他の地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下同じ。)が反対意見書を提出した場合において、実施機関が開示決定(保有個人情報の全部又は一部を開示する決定をいう。以下同じ。)をする場合、当該開示請求者以外のもののために争訟の機会を確保する趣旨である。
14 「開示決定の日と開示をする日との間に少なくとも2週間を置かなければならない」とは、開示請求者の迅速な開示への期待を斟酌しつつも、反対意見書を提出した当該開示請求者以外のものが、保有個人情報の開示決定の取り消しを求める争訟を提起して開示の執行停止の申立てを行う期間を確保するため、2週間以上置くこととしたものである。
第2 運用
1 実施機関の開示決定等は、郵便等により開示請求者に通知する。
2 非開示決定をする場合に理由を付記しなければならないのは、決定権者の慎重かつ合理的な判断を確保するため及び処分の理由を相手方に知らせるためである。
理由の付記は、開示請求を拒否する決定を適法に行うための要件であり、理由を付記していない場合又は付記された理由が不十分な場合は、瑕疵ある行政処分となる。したがって、開示請求を拒否する処分を行う場合には、本条の趣旨に即し、非開示の理由を明確にしなければならない。
第15条関係(開示の方法)
第1 趣旨
1 本条は、条例第14条第1項の規定により保有個人情報の全部又は一部を開示する旨の決定をした場合における具体的な開示の方法を定めたものである。
2 第1項は、保有個人情報の開示をする際の手続について規定したものである。
3 保有個人情報の開示は、条例第14条第2項の規定による通知書により指定する日時及び場所において行うものであるから、開示請求者は、指定の場所に出向かなければならない。なお、特に必要と認める場合は郵便等による開示を行うことができる。
4 開示請求者についての本人確認は、保有個人情報の開示請求時と同様、開示時においても、厳格に行わなければならない。
5 第2項は、保有個人情報の開示の方法について具体的に定めたものである。
6 保有個人情報が記録されている公文書の種類別の開示の方法は、次のとおりである。
(1) 文書、図面又は写真に記録されているときは閲覧又は写しの交付
(2) フィルムに記録されているときは視聴又は写しの交付。ただしマイクロフィルムの写しの交付については、印刷物として出力したものの交付
(3) 電磁的記録に記録された保有個人情報
ア ビデオテープ及び録音テープに記録されているときは視聴又は写しの交付
イ その他の磁気テープ、磁気ディスク等に記録されているときは、磁気テープ、磁気ディスク等に記録された当該保有個人情報に係る部分を印刷物として出力したものの閲覧又は交付を基本的な開示の方法としつつ、磁気テープ、磁気ディスク等に記録された当該保有個人情報をディスプレイに出力したものの視聴又は磁気テープ、磁気ディスク等の記録媒体に複写したものの交付が容易であるときは、磁気テープ、磁気ディスク等に記録された当該保有個人情報の視聴又は写しの交付により行うことができる。
7 第3項は、一定の場合には、保有個人情報が記録された公文書の写しにより開示しても差し支えない旨を規定したものである。
「保有個人情報が記録された公文書の保存に支障が生ずるおそれがあると認めるとき」とは、保有個人情報が記録された公文書の形態又は形状から保有個人情報が記録された公文書が破損され、又は汚損されるおそれがあるときなどをいう。
「その他合理的な理由があるとき」とは、請求に係る保有個人情報の開示を、当該保有個人情報が記録された公文書の一部により行う必要があるときなど、実施機関が相当と認めるときをいう。
第16条関係(保有個人情報の開示義務)
第1 趣旨
1 本条は、実施機関は、自己を本人とする保有個人情報の開示請求があったときは、開示請求に係る保有個人情報に本条各号のいずれかに該当する情報が含まれている場合を除き、当該保有個人情報を本人に開示しなければならないことを定めたものである。
2 第1号関係(法令秘情報)
(1) 本号は、法令及び条例の定めるところ又は実施機関が法律若しくはこれに基づく政令により従う義務を有する国の行政機関の指示等により、本人に開示することができないと認められる保有個人情報は、非開示とすることを定めたものである。
(2) 「法令」とは、法律及び政令、府令、省令、その他国の機関が定めた命令をいう。
「法令等」の「等」は、条例を指す。
(3) 「実施機関が法律若しくはこれに基づく政令により従う義務を有する国の行政機関の指示等」とは、国の行政機関からの指示等であって、法律又はこれに基づく政令に根拠を有し、実施機関を法的に拘束するものをいう。
(4) 「国の行政機関」については、次のようなものがある。
ア 内閣府設置法第4条第3項に規定する事務をつかさどる機関である内閣府、宮内庁、同法第49条第1項及び第2項に規定する機関
内閣の所掌事務をつかさどる機関として置かれる内閣府、宮内庁並びにその外局として置かれる委員会及び庁
イ 国家行政組織法第3条第2項に規定する機関
内閣の統括の下に行政事務をつかさどる機関として置かれる省並びにその外局として置かれる委員会及び庁
ウ 法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関
国家公務員法(昭和22年法律第120号)第3条に規定する人事院
エ これらに置かれる機関
府、省、委員会、庁又は人事院にこれらの所掌事務を遂行するため又は分掌するために置かれる機関若しくは部局等
(5) 「開示することができないと認められる」とは、法令等の規定が本人に開示することを明らかに禁止している場合はもとより、法令等の趣旨及び目的から当然に本人に開示することができないと認められる場合等をいう。ただし、「開示することができない」等の規定に、「本人」を含むか否かが明文化されていない場合には、法令等の趣旨、目的によって判断することが必要である。第三者に対して、個人情報を保護する意味での開示禁止規定である場合は、本号には該当しないものである。
3 第2号関係(開示請求者以外の個人に関する情報)
(1) 本号は、開示請求者を本人とする保有個人情報の開示に関して、第三者の権利利益との競合が起こるような場合について規定したものである。
開示請求に係る個人情報の中に、本人以外の第三者(個人)の情報が含まれている場合があるが、第三者に関する情報を本人に開示することによって当該第三者の権利利益を害するおそれがあることから、第三者に関する情報は非開示とすることを定めたものである。
(2) 「個人に関する情報」は、「個人情報」とは異なり、生存する個人に関する情報のほか、死亡した個人に関する情報も含まれる。
(3) 個人に関する情報であっても、特定個人情報(東京都特定個人情報の保護に関する条例(平成27年東京都条例第141号。以下「特定個人情報保護条例」という。)第2条第7項に規定する特定個人情報をいう。)及び個人番号(特定個人情報保護条例第2条第4項に規定する個人番号をいう。)のうち死亡した者に係るものについては、本条第9号ないし第11号で判断することとし、本号の個人情報の範囲から除外した。
(4) 「事業を営む個人の当該事業に関する情報」とは、本条第3号本文に規定する事業を営む個人の当該事業に関する情報と同義であるため、同号で判断することとし、本号の個人情報の範囲から除外した。ただし、事業を営む個人に関する情報であっても、その事業とは直接関係がない個人情報は、本号により、開示又は非開示の判断を行う。
(5) 「特定の個人を識別することができる」とは、氏名、住所、生年月日その他の記述等により特定の個人であると明らかに識別することができ、又は識別される可能性がある場合をいう。
(6) 「他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるもの」とは、その情報自体からは特定の個人を識別することはできないが、当該情報と他の情報とを照合することにより、特定の個人を識別することができることとなる情報をいう。
(7) 「特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、カルテ、反省文及び未公表の著作物などのように、個人の人格と密接に関連する又は開示によって財産権その他の個人の正当な利益を害するおそれがあると認められるものなど、特定の個人を識別できない場合であっても、開示することにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものをいう。
(8) ただし書のイは、法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができる情報又は知ることが予定されている情報を、非開示とする情報から除外することを定めたものである。
ア 「法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができる情報」とは、法令等の規定や慣行により、開示請求者が容易に入手することができる状態におかれている情報をいう。
イ 「法令等の規定」には、何人に対しても等しく当該情報を開示すること又は公にすることを定める規定のほか、特定の範囲の者に限り当該情報を開示することを定めている規定が含まれる。
ウ 「慣行」とは、慣習法としての法規範的な根拠を要するものではなく、事実上の慣習として知ることができ、又は知ることが予定されていることで足りる。
当該保有個人情報と同種の情報について、本人が知ることができた事例があったとしても、それが個別的な事例にとどまる限り「慣行として」には当たらない。また、情報公開条例第7条第2号イの「慣行として公にされている情報」は、慣行として開示請求者が知ることができる情報に含まれる。
「慣行として開示請求者が知ることができる情報」に該当するものとしては、請求者の家族構成に関する情報(配偶者や子の名前、年齢等)等が考えられる。
エ 「知ることが予定されている情報」とは、開示請求時点においては知らされていないが、将来的に知らされることが予定されている情報をいう。
「予定」とは、将来知らされることが具体的に決定されていることは要しないが、当該情報の性質、利用目的等に照らして通例知らされるべきものと考えられることをいう。
(9) ただし書のロは、開示請求者以外の個人に関する情報について、非開示にすることにより保護される開示請求者以外の個人の権利利益よりも、開示請求者を含む人の生命、健康、生活又は財産を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を非開示とする情報から除外することを定めたものである。現実に、人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性の高い場合も含まれる。
この比較衡量に当たっては、個人の権利利益にも様々なものがあり、また、人の生命、健康、生活、財産の保護にも、保護すべき権利利益の程度に差があることから、個別の事案に応じた慎重な検討が必要である。
(10) ただし書のハは、公務員等の職務の遂行に係る情報のうち、公務員等の職及び職務遂行の内容に係る部分を、非開示とする情報から除外することを定めたものである。
ア 「公務員等の職務の遂行に係る情報」とは、公務員が行政機関若しくはその補助機関として、又は独立行政法人等若しくは地方独立行政法人の役員及び職員が独立行政法人等として、その担任する職務を遂行する場合におけるその情報をいう。
イ 公務員等の勤務態度、勤務成績、処分歴等職員としての身分取扱いに係る情報などは、「職務の遂行に係る情報」には当たらない。
ウ 公務員等の職務の遂行に係る情報に含まれる当該公務員等の氏名については、「法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」の規定により開示又は非開示の判断を行う。
エ 職務遂行に係る情報であっても、それが他の非開示情報に該当する場合には、その職及び職務遂行の内容に係る部分を含めて全体が非開示とされることとなる。
4 第3号関係(事業活動情報)
(1) 本号は、本人に開示することにより、法人等又は開示請求者以外の事業を営む個人の競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められる情報を非開示とすることを定めたものである。
(2) 本号本文は、法人等又は事業を営む個人が有する正当な権利利益は、たとえ開示請求者を本人とする保有個人情報であると認められる範囲のものであっても、開示することにより、害されるべきではないという趣旨である。
(3) 「事業を営む個人」とは、地方税法(昭和25年法律第226号)第72条の2第8項から第10項までに掲げる事業を営む個人のほか、農業、林業等を営む個人をいう。
「当該事業に関する情報」とは、営利を目的とすると否とを問わず、事業活動に関する一切の情報をいう。
(4) 本号のただし書は、第2号ロと同様に、当該情報を非開示とすることによって保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益と、これを開示することにより保護される人の生命、健康等の利益とを比較衡量し、後者の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないとするものである。
現実に人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれる。なお、法人等又は事業を営む個人の事業活動と人の生命、健康等に対する危害等との明確な因果関係が確認されなくても、現実に人の生命、健康等に対する被害等の発生が予測される場合もあり得る。
(5) 「競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められるもの」とは、次のような情報をいう。
ア 法人等又は事業を営む個人の保有する生産技術上又は販売上の情報であって、開示することにより、当該法人等又は事業を営む個人の事業活動が損なわれると認められるもの
イ 経営方針又は経理、人事等の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、開示することにより、法人等又は事業を営む個人の事業運営が損なわれると認められるもの
ウ その他開示することにより、法人等又は事業を営む個人の名誉、社会的評価、社会的活動の自由等が損なわれると認められる情報
エ 「地位が損なわれると認められる」とは、開示することにより、法人等の事業活動に何らかの不利益が生じるおそれがあるというだけでは足りず、法人等の競争上等の地位が具体的に侵害されると認められる場合を意味するものである。そして、開示することにより、当該法人等の競争上等の地位が具体的に侵害されると認められるかどうかは、当該情報の内容、性質を始めとして、当該法人等の事業内容、当該法人等と行政との関係、その活動に対する憲法上の権利の保護の必要性等を考慮して総合的に判断するものである。
5 第4号関係(犯罪の予防・捜査等情報)
(1) 本号は、本人に開示することにより、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報を非開示とすることを定めたものである。
(2) 本号でいう「公共の安全と秩序の維持」とは、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持及び刑の執行に代表される刑事法の執行を主なものとする。
(3) 本号は、本人に開示することにより、犯罪の予防及び捜査活動等に支障を及ぼすおそれがある情報や、人の生命、身体、財産等への不法な侵害を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し、又は犯罪の実行を容易にするおそれがある情報を非開示とするものである。
(4) 本号に該当する情報とは、例えば次のような情報をいう。
ア 本人に開示することにより、犯罪の予防及び捜査等の手法、技術、体制等が明らかにされ、その結果これらの活動が阻害され、若しくは適正に行われなくなり、又はその可能性がある情報
イ 本人に開示することにより、犯罪の被疑者、被害者、参考人、通報者等が特定され、その結果これらの人々の生命若しくは身体に危害が加えられ、又はその地位若しくは正常な生活が脅かされることになるおそれがある情報
ウ 本人に開示することにより、特定の個人の行動予定、家屋の構造等が明らかにされ、その結果これらの人々が犯罪の被害者となるおそれがある情報
(5) 「おそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」 開示することにより、犯罪の予防、鎮圧、捜査等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれのある情報については、その性質上、開示・非開示の判断に犯罪等に関する将来予測としての専門的・技術的判断を要することなどの特殊性が認められる。このため、司法審査の場においては、裁判所は、本号に規定する情報に該当するかどうかについての実施機関の第一次的な判断を尊重し、その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるか(「相当の理由」があるか)否かを審理・判断することが適当であるため、このような規定としている。
6 第5号関係(審議、検討又は協議に関する情報)
(1) 本号は、都の機関並びに国、独立行政法人等、他の地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報の非開示情報としての要件を定めるものである。
(2) 本号は、行政(独立行政法人等を含む。以下同じ。)における内部的な審議、検討又は協議が円滑に行われ、適正な意思決定が損なわれないようにする観点から定めたものである。行政における意思決定は、審議、検討又は協議を積み重ねた上でなされており、その間の行政における内部情報の中には、本人に開示することにより、外部からの干渉、圧力等により行政の内部の自由かつ率直な意見の交換が妨げられ意思決定の中立性が損なわれるおそれがあるもの、未成熟な情報が確定した情報と誤解され都民の間に混乱を生じさせるおそれがあるもの、又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるものがあり、これらの情報については、非開示とすることとしたものである。
(3) 「都の機関」には、都議会も含まれる。
(4) 「都の機関並びに国、独立行政法人等、他の地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間」とは、
ア 都の機関の内部
イ 国、独立行政法人等、他の地方公共団体又は地方独立行政法人の内部
ウ 都の機関の相互間(知事部局と行政委員会の相互間等)
エ 都の機関と国、独立行政法人等、他の地方公共団体又は地方独立行政法人の相互間
オ 国、独立行政法人等、他の地方公共団体又は地方独立行政法人の相互間
をいう。
(5) 「不当に」とは、審議、検討又は協議に関する情報の性質に照らし、検討段階の情報を本人に開示することによる利益と支障とを比較衡量し、開示することの公益性を考慮してもなお、その支障が看過しえない程度のものである場合をいう。
7 第6号関係(行政運営情報)
(1) 本号は、本人に開示することにより、都の機関又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若しくは地方独立行政法人が行う事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を非開示とすることを定めたものである。
(2) 本号のイからトまでは、都の機関又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若しくは地方独立行政法人の行う事務又は事業の内容及び性質に着目した上でグループ分けし、各グループごとに、開示することにより生ずる典型的な支障を示したものである。
(3) 事務又は事業に関する情報であって、開示することによりその適正な遂行に支障を及ぼすおそれは、イからトまでに限定されるものではない。本号の例示以外の事務又は事業についても、本人に開示することにより、「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」がある限り非開示とされる。
(4) 「当該事務又は事業の性質上」とは、当該事務又は事業の性質に照らして保護する必要がある場合のみ非開示とすることができることとする趣旨である。また、「当該事務又は事業」には、同種の事務又は事業が反復される場合の将来の事務又は事業も含まれる。
(5) 「事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは、本人に開示することにより、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法等に照らして、その適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるものをいう。この場合、「支障を及ぼすおそれ」は、単なる抽象的な可能性では足りず、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を生じることについて、法的保護に値する蓋然性が認められなければならない。
(6) イの「試験」とは、人の知識、能力等又は物の性能等を試すことをいう。
(7) ホ「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」
実施機関が行う人事管理(職員の任免、懲戒、給与、研修その他職員の身分や能力等の管理に関すること)に係る事務は、当該機関の組織としての維持の観点から行われ、一定の範囲で当該機関の自律性を有するものである。
人事管理に係る事務に関する情報の中には、例えば、勤務評定や人事異動、昇格等の人事構想等を開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれがあるものがあり、このような情報を非開示とするものである。
8 第7号関係(任意提供情報)
(1) 本号は、第三者が、実施機関の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供した情報その他開示されないと第三者が信頼して提供した情報(任意提供情報)を非開示とする場合の要件を定めたものである。
(2) 非開示を前提とした情報の任意提供は、一般的に他に知らされないという認識及び信頼の下に行われている。本号は、このような情報を開示した場合、当該第三者との信頼関係が損なわれるおそれがあることから定めたものである。
(3) 「実施機関の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供した情報」とは、実施機関が第三者に情報の提供を要請し、第三者が本人に開示しないとの条件でこれに応じて任意に提供した情報をいう。
(4) 「第三者における通例として開示しないこととされているもの」とは、当該第三者が属する業界、業種等の通常の慣行に照らして、本人に開示しないことに合理的な理由があるものをいう。
(5) 「当時の状況等に照らして」とは、当該情報の提供当時の諸般の事情に照らして判断することを基本とするが、必要に応じ、取得後の事情の変更も考慮することとする趣旨である。
(6) 「その他当該情報が開示されないことに対する当該第三者の信頼が保護に値するもの」とは、開示しないとの条件が明示的になされていない場合であっても、本人に開示されないと第三者が信頼して情報を提供する場合などがあり、そのような第三者の信頼が法的保護に値するものをいう。
(7) 任意提供情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められるものは、本号ただし書により開示することとなる。
9 第8号関係(法定代理人との利益相反情報)
(1) 本号は、未成年者又は成年被後見人の権利利益を保護するため、未成年者又は成年被後見人の法定代理人による開示請求がなされた場合において、未成年者又は成年被後見人本人と法定代理人との利益が相反する場合、又は当該法定代理人に開示することが他の法定代理人の利益に反する場合に非開示とすることを定めたものである。
(2) 未成年者又は成年被後見人本人と法定代理人との利益が相反する場合とは、例えば
ア 法定代理人による虐待を受けた子供の心情等を記録した文書等
イ 法定代理人が未成年者に対する権利侵害について刑事上の責任を問われている場合などにおける、当該権利侵害に係る子供の個人情報が記録された文書等
ウ 満15歳以上の未成年者が開示について同意していない当該未成年者の個人情報が記録された文書等
などについての開示請求で、利益が相反しないと認められる特段の事由がないときである。
(3) 当該法定代理人に開示することが他の法定代理人の利益に反する場合とは、例えば、一方の親権者が他方の親権者には内密に、相談機関に対して子供に関する相談を行っている場合において、当該相談事実に関する他方の親権者からの探索的な開示請求など、開示することにより法定代理人の間に紛争が生じるような事態が想定されるときである。
10 第9号関係(他人の特定個人情報)
(1) 本号は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号。以下「番号法」という。)及び特定個人情報保護条例において、法令に定める場合以外の特定個人情報の収集、保管及び提供を禁止していることに鑑み、本条第2号の適用だけでは特定個人情報の適切な保護が図れないことから、他人の特定個人情報については例外なく非開示とすることを定めたものである。
(2) 「他人」とは、開示請求者と同一の世帯に属する者以外の者をいう。
(3) 「特定個人情報」とは、個人番号(個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号であって、住民票コード以外のものを含む。)をその内容に含む個人情報をいうものであり、法令の趣旨に基づき特定個人情報として一体的に保護し取り扱う必要があることから、個人番号のみを区分し非開示とする一部開示をするような取扱いは行わない。
(4) 特定個人情報も個人情報であり、個人情報は生存する個人に関する情報に限定されていることから、死者の情報は、本号で非開示とする特定個人情報には当たらない。
11 第10号関係(同一世帯に属する者の特定個人情報)
本号は、自己と同一の世帯に属する者の特定個人情報について、番号法で提供の求めが禁止されていないことから、開示請求者と同一の世帯に属する者の特定個人情報については、開示請求者に開示することにより当該同一世帯に属する者の利益に反するおそれがある場合に限って、非開示とすることを定めたものである。
12 第11号関係(死者の個人番号)
本号は、本条第9号の特定個人情報には死者の情報は含まれないが、番号法及び特定個人情報保護条例において個人番号の取扱いについても厳格な制限を設けている趣旨に鑑み、死者の個人番号について、これを非開示とすることを定めたものである。
第2 運用
1 開示請求に係る個人情報が、本条各号のいずれかに該当する場合は開示しないものであるが、開示の請求権を保障するという原則の中での例外的措置を認めるものであることから、開示しないことの正当性については、類型化された適用除外事項ということで画一的な判断を下すことなく、あくまでも個別的な、慎重な判断を行うものとする。
2 満15歳以上の未成年者の法定代理人による開示請求がなされた場合にあっては、次のような取扱いを行う。
(1) 本条第8号イの規定に該当するかどうかの判断に当たり、原則として当該未成年者に対し、確認書(保護規則別記第9号様式)の提出を求めるものとする。
(2) 当該未成年者の同意がない場合は、原則として本人の利益に反するものとして非開示とする。
ただし、当該未成年者の同意がない場合で、かつ、当該未成年者の情報を法定代理人に開示することによって、本人の生命、身体又は財産その他の権利利益に重大な支障が生じるおそれがあると実施機関が判断することに相当な理由がある場合は、未成年者と法定代理人との利益が相反することが明確な場合として、原則として開示請求を却下する。
(3) 次の場合は、それぞれの定めるところによる。
ア 未成年者の情報を法定代理人に開示することによって、本人の生命、身体又は財産その他の権利利益に重大な支障が生じるおそれがあると実施機関が判断することに相当な理由がある場合は、本人が開示に同意している場合であっても、非開示とする。
イ 未成年者の同意が真意によるものであるかどうかが疑わしい場合は、真意によるものであるか否かの確認に努めるものとし、その後、なお確認が得られない場合は、本人の同意があるものとして開示又は非開示の判断を行う。
ウ 未成年者が所在不明等によりその意思を確認することが難しい場合は、本人の同意がないものとして非開示とする。
エ 確認書が返送期限までに返送されない場合には、再度返送するよう求めるものとし、なお返送されない場合には、本人の同意がないものとして非開示とする。
第17条関係(一部開示)
第1 趣旨
1 本条は、開示請求に係る自己を本人とする保有個人情報の一部に非開示情報が記録されている場合において、非開示情報に係る部分を容易に区分して除くことができ、かつ、区分して除くことにより、当該開示請求の趣旨が損なわれることがないと認めるときは、当該保有個人情報の全体を非開示とするのではなく、非開示情報に係る部分を削除し、当該非開示情報に係る部分以外の部分について開示をすることを定めたものである。
2 「非開示情報に係る部分を容易に区分して除くことができ」とは、開示請求に係る保有個人情報から非開示情報に係る部分とそれ以外の部分とを区分し、かつ、非開示情報に係る部分を物理的に除くことが、当該保有個人情報の中の非開示情報に係る部分を記録した状態や一部開示のための複写物を作成するために必要な時間、経費等から判断して、容易である場合をいう。
3 「開示請求の趣旨が損なわれる」とは、開示請求に係る保有個人情報から非開示情報に係る部分を区分して除くと、開示される部分に記録されている情報が開示請求者の既知情報だけとなる場合や無意味な文字、数字等の羅列となる場合などをいう。
4 第2項は、開示請求に係る自己を本人とする保有個人情報に条例第16条第2号の情報(開示請求者以外の特定の個人を識別できる情報に限る。)が含まれている場合に、当該情報のうち個人を識別させる部分を除くことによる部分開示について定めたものである。
5 「開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、開示しても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるとき」とは、氏名、住所等の個人を識別させる部分を除くことにより、開示しても開示請求者以外の個人の正当な権利利益が害されるおそれがないと認められる場合をいう。
個人を識別させる要素を除去し、誰の情報であるかが分からなくなっても、開示することが不適当であると認められる場合もある。例えば、カルテ、反省文など個人の人格と密接に関わる情報や未公表の著作物等、開示すると個人の正当な権利利益を害するおそれのあるものも想定される。
このため、個人を識別させる部分を除いた部分について、開示しても個人の権利利益を害するおそれのないものに限り、部分開示の規定を適用するものである。
6 「同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。」とは、個人を識別させる部分を除いた部分について、開示しても個人の権利利益が害されるおそれがないと認められる場合は、個人を識別させる部分を除いた部分は、第16条第2号の個人情報には含まれないものとみなして開示しなければならないとする趣旨である。
なお、第1項の規定を適用するに当たっては、容易に区分して除くことができるかどうかが要件となるので、個人を識別させる要素とそれ以外の部分とを容易に区分して除くことができない場合は、当該個人に関する情報は全体として非開示となる。
第17条の2関係(裁量的開示)
第1 趣旨
1 本条は、開示請求に係る自己を本人とする保有個人情報に、第16条各号(第1号、第9号、第10号及び第11号を除く。)に該当する非開示情報が含まれている場合であっても、個別具体的事情により、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは、実施機関の高度の行政的な判断により、開示することができることを定めたものである。
2 第16条第1号、第9号及び第11号に該当する情報については、法令等によって開示が禁止されている又は禁止されていると解される情報であり、第10号に該当する情報については、個人の権利利益を保護するために非開示とすべき情報であるから、本条例による開示の余地がないものであり、裁量的開示の対象から除外する。
第17条の3関係(保有個人情報の存否に関する情報)
第1 趣旨
1 開示請求に対しては、当該開示請求に係る保有個人情報の存否を明らかにした上で、開示決定等をすべきであるが、本条は、その例外として、存否応答拒否ができる場合について定めたものである。
2 「当該開示請求に係る保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示することとなるとき」とは、例えば、探索的な請求の場合など、開示請求に対し、当該保有個人情報は存在するが非開示とするという回答又は当該保有個人情報は存在しないという回答をすることによって非開示情報の保護利益が害されることとなる場合をいう。
第2 運用
1 本条により存否応答拒否をするときは、第14条第1項の開示をしない旨の決定を行うこととなり、必要にして十分な拒否理由の提示をする必要がある。
2 存否応答拒否をする必要がある個人情報については、当該保有個人情報が実際には存在しない場合であっても、不存在決定をするのではなく存否応答拒否をするものである。
3 本条は、開示請求に対する応答の例外規定であるから、本条の規定により存否応答拒否をする場合は、その妥当性を適切に判断する必要がある。そこで、存否応答拒否の適用に当たっては、生活文化局広報広聴部情報公開課に対し、事前に照会するとともに、本条を適用した場合は、東京都情報公開・個人情報保護審議会へ事後報告をすることとする。
第17条の4関係(開示請求に係る事案の移送)
第1 趣旨
1 本条は、他の実施機関への開示請求事案の移送について、その要件及び手続を定めるものである。
2 開示請求に係る保有個人情報が他の実施機関から提供されたものであるときなどは、当該実施機関の判断に委ねた方が迅速かつ適切な処理に資することがあると考えられるので、実施機関は、当該他の実施機関と協議の上、事案を移送することができることとした。
3 第1項の「他の実施機関において開示決定等をすることにつき正当な理由があるとき」とは、本項で例示された「開示請求に係る保有個人情報が他の実施機関から提供されたものであるとき」のほか、開示請求に係る保有個人情報の重要な部分が他の実施機関の事務・事業に係るものである場合などであって、他の実施機関の判断に委ねた方が適当な場合である。
4 第2項の「移送前にした行為」には、第13条第3項の開示請求書の補正など本条例に基づき移送前にした行為をすべて含む。
事案の移送によって、開示請求者に不利益とならないようにするため、移送をした実施機関が移送前にした行為は、移送を受けた実施機関がしたものとみなされる。したがって、開示決定等の期限は、移送をした実施機関に開示請求があった日の翌日から起算することとなる。
5 第3項は、開示の実施は、移送を受けた実施機関の責任において行われるが、その開示の実施が円滑に行われるよう、移送をした実施機関の協力義務を明記したものである。(例えば、@移送前にした行為があれば、その記録を作成し、これを提供すること、A移送した実施機関で開示請求書の写しを作成・保管するとともに、開示請求書を提供すること、B事案を移送した旨の開示請求者に対する通知の写しの提供、C他の実施機関が請求に係る保有個人情報が記録されている公文書を保有していない場合には、その開示請求に係る保有個人情報が記録されている公文書の写しの提供又は原本の貸与、D原本を閲覧する方法による開示の実施のための保有個人情報が記録されている公文書の貸与又は場所(当該保有個人情報を保有している組織の事務所等)の提供等の協力が考えられる。)
第2 運用
1 開示請求事案の移送は、当該開示請求の趣旨等を個別に考慮し、慎重に行われるべきである。
2 開示決定等の期限については、当初の開示請求のあった時点から計算される。したがって、移送の協議は、開示請求を受けてから速やかに行われるべきである。
3 開示請求者との関係において、開示決定等を行うべき実施機関が何度も変わること(再移送)は、適当ではない。移送の協議の際には、移送を行うことが適当と考えられる実施機関が他にもあれば、これらの実施機関も交えて協議を行い、移送先を決定すべきである。
第18条関係(訂正を請求できる者)
第1 趣旨
1 本条は、保有個人情報に事実の誤りがあった場合、そのことによって本人に思わぬ不利益が及ぶおそれや権利利益を侵害するおそれがある。このようなことを防止するために、誤りを確認した場合に、訂正を求めることを権利として保障したものである。
2 第1項は、訂正請求ができる者及び訂正請求ができる事項について規定したものである。
3 「開示決定を受けた」とは、訂正請求をするに当たって、その対象となる保有個人情報が、この条例による開示決定(一部開示の決定を含む。)を受けていなければならない趣旨である。
4 「事実」とは、住所、氏名、性別、生年月日、年齢、家族構成、学歴、日時、金額、面積、数量等客観的に判断できる事項をいう。
5 「訂正」には、単に記録内容の間違いの訂正だけでなく、記録が不備である場合の追加及び記録が余分である場合の削除等を含むものである。
6 第2項は、本人請求の例外として、未成年者又は成年被後見人の法定代理人のみが、被代理人の保有個人情報の訂正を請求できる旨を明らかにしたものであり、条例第12条第2項の規定を準用するものである。
第19条関係(訂正請求方法)
第1 趣旨
1 本条は、保有個人情報の訂正についての具体的な請求方法を定めたものである。
2 第1項は、訂正請求に際しては、保有個人情報訂正請求書(保護規則別記第10号様式)に必要事項を記載して提出する必要があることを明らかにしたものである。
本項各号に掲げる事項は、保有個人情報訂正請求書に記載すべき事項であり、訂正請求をする上で必要な記載事項である。
3 第2項は、訂正請求に際しては、訂正を求める内容が事実に合致することを証明する書類等が必要であることを明らかにしたものである。
「証明する書類等」とは、訂正を求める内容が事実であると客観的に判断できるものでなければならない。
「書類等」の「等」は、物品などを指す。
4 第3項は、訂正請求をしようとする者は、自己が当該訂正請求に係る保有個人情報の本人又はその法定代理人であることを証明する書類を提出し、又は提示する必要があること及び訂正請求書に形式上の不備がある場合の補正手続について定めたものであり、条例第13条第2項及び第3項の規定を準用するものである。
第2 運用
1 郵便等による訂正請求は、請求者本人の確認が十分行えないことから、特に必要があると認める場合を除いて認めないものである。
2 本条は、訂正請求権の行使によらなければ、記録の訂正に応じることができないという趣旨ではない。
第19条の2関係(訂正義務)
第1 趣旨
1 本条は、実施機関は、訂正請求に理由があると認めるときは、利用目的の達成に必要な範囲内で、当該保有個人情報の訂正をしなければならないということを定めたものである。
2 「訂正請求に理由がある」とは、実施機関による調査等の結果、請求どおり保有個人情報が事実でないことが判明したときをいう。
3 「利用目的の達成に必要な範囲内で、訂正をしなければならない」とは、保有個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内での訂正を義務付ける趣旨である。訂正請求に係る保有個人情報の利用目的に照らして、訂正の必要がないときは、訂正する義務はない。
第20条関係(訂正請求に対する決定)
第1 趣旨
1 本条は、保有個人情報の訂正請求があった場合において、請求のあった保有個人情報について実施機関が行う訂正する旨の決定又は訂正しない旨の決定(以下「訂正決定等」という。)についての手続を定めたものである。
2 第1項は、実施機関は、保有個人情報の訂正請求があった日の翌日から起算して30日以内に訂正決定等をする義務があることを明らかにしたものである。
3 「保有個人情報を訂正する旨又は訂正しない旨の決定」とは、実施機関が、訂正請求のあった保有個人情報が事実に関するものであるか否か、訂正すべき事実であるか否か等について判断した上、訂正決定等をすることである。
4 第2項は、訂正する旨の決定をしたときは、当該請求に係る保有個人情報を訂正した上で、遅滞なく訂正請求者に通知する義務があることを明らかにしたものである。
5 第3項は、訂正しない旨の決定をしたとき、遅滞なく訂正請求者に訂正しない旨を通知する義務があることを明らかにしたものである。
6 第4項は、訂正しない旨の決定をしたときは、通知書にその理由を付記する必要があることを明らかにしたものである。
7 第5項は、期間延長及び意見聴取については、開示請求に対する決定の場合の規定を準用するものである。
第2 運用
1 実施機関の訂正決定等は、郵便等により訂正請求者に通知する。
2 訂正をしない旨の決定をする場合に理由を付記しなければならないのは、決定権者の慎重かつ合理的な判断を確保するため及び処分の理由を相手方に知らせるためである。
理由の付記は、訂正請求を拒否する決定を適法にするための要件であり、理由を付記していない場合又は付記された理由が不十分な場合は、瑕疵ある行政処分となる。したがって、訂正請求を拒否する処分を行う場合には、訂正をしない旨の理由を明確にしなければならない。
第21条関係(訂正請求に係る事案の移送)
第1 趣旨
1 本条は、他の実施機関への訂正請求事案の移送について、その要件及び手続きを定めるものである。
2 第1項は、訂正請求に係る保有個人情報が他の実施機関に移送した事案についての開示に係るものであるときなどは、当該他の実施機関の判断に委ねた方が迅速かつ適切な処理に資することがあると考えられるので、実施機関は、当該他の実施機関と協議の上、事案を移送することができることとした。
(1) 「その他他の実施機関において訂正決定等をすることにつき正当な理由があるとき」とは、訂正請求に係る保有個人情報の重要な部分が他の実施機関の事務・事業に係るものである場合などであって、他の実施機関の判断に委ねた方が適当な場合である。
3 第3項は、移送を受けた実施機関が、訂正請求に係る保有個人情報を訂正する決定を行ったときは、移送をした実施機関は、当該訂正決定に基づき訂正の実施をしなければならないことを定めたものである。
第21条の2関係(保有個人情報の提供先への通知)
第1 趣旨
本条は、実施機関が訂正決定に基づく訂正の実施をした場合、必要があると認めるときは、当該保有個人情報の提供先に対し、遅滞なく、その旨を書面により通知することを定めるものである。
訂正請求の対象は、一義的には、訂正請求があった実施機関の保有する保有個人情報である。しかし、訂正の実施をした実施機関が、当該保有個人情報を第三者に提供しており、その提供先において誤った保有個人情報が利用されることを予見することができる場合には、訂正請求の制度の趣旨が活かされるよう、提供先に対し訂正の実施をした旨を通知するものである。
第21条の3関係(利用停止を請求できる者)
第1 趣旨
1 本条は、実施機関における個人情報の適切な取扱いを確保する趣旨から、不適正な取扱いがあると認めるときに、利用停止を求めることを権利として保障したものである。
2 第1項は、利用停止請求ができる者及び求めることができる措置について規定したものである。
3 「開示決定を受けた」とは、利用停止請求をするに当たって、その対象となる個人情報が、この条例による開示決定(一部開示の決定を含む。)を受けていなければならない趣旨である。
4 第1号は、保有個人情報の利用の停止又は消去を求めることができる場合を定めたものである。
(1) 「第4条第1項から第3項までの規定に違反して収集されたとき」とは、第4条の、事務の執行上必要な範囲内で、適法かつ公正な手段による収集(第1項)、思想、信教及び信条に関する個人情報並びに社会的差別の原因となる個人情報の収集制限(第2項)、本人からの直接収集(第3項)の収集制限規定のいずれかに違反して収集された場合をいう。
(2) 「第10条の規定に違反して利用されているとき」とは、第10条第1項ただし書の規定により目的外利用ができる場合に該当しない場合であるにもかかわらず、収集した目的以外の目的で利用されている場合をいう。
(3) 「利用の停止」とは、利用の全面的な停止だけではなく、一部停止を含む。また、「消去」とは、当該保有個人情報の全部又は一部を記録媒体から消し去ることをいう。保有個人情報を匿名化することもこれに含まれる。
5 第2号は、保有個人情報の提供の停止を求めることができる場合を定めたものである。
「第10条の規定に違反して提供されているとき」とは、第10条第2項ただし書の規定により目的外提供ができる場合に該当しない場合であるにもかかわらず、収集した目的以外の目的で提供されている場合をいう。
6 第2項は、本人請求の例外として、未成年者又は成年被後見人の法定代理人のみが、本人の保有個人情報の利用停止を請求できる旨を明らかにしたものであり、条例第12条第2項の規定を準用するものである。
第21条の4関係(利用停止請求方法)
第1 趣旨
1 本条は、保有個人情報の利用停止についての具体的な請求方法を定めたものである。
2 第1項は、利用停止請求に際しては、保有個人情報利用停止請求書(保護規則別記第15号様式)に必要事項を記載して提出する必要があることを明らかにしたものである。
本項各号に掲げる事項は、保有個人情報利用停止請求書に記載すべき事項であり、利用停止請求をする上で必要な記載事項である。
3 第2項は、利用停止請求をしようとする者は、自己が当該利用停止請求に係る保有個人情報の本人又はその法定代理人であることを証明する書類を提出し、又は提示する必要があること及び利用停止請求書に形式上の不備がある場合の補正手続について定めたものであり、条例第13条第2項及び第3項の規定を準用するものである。
第2 運用
郵便等による利用停止請求は、請求者本人の確認が十分行えないことから、特に必要があると認める場合を除いて認めないものである。
第21条の5関係(利用停止義務)
第1 趣旨
1 本条は、実施機関は、利用停止請求があった場合において、利用停止請求に理由があると認めるときは、保有個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度で、当該保有個人情報の利用の停止、消去又は提供の停止(以下「利用停止」という。)をしなければならないということを定めたものである。
2 「利用停止請求に理由がある」とは、第21条の3第1項第1号又は第2号に該当する違反の事実があると実施機関が認めるときである。
3 「個人情報の適正な取扱いを確保する」とは、第21条の3第1項第1号又は第2号に該当する違反状態を是正する意味である。
4 「必要な限度」とは、例えば、利用停止請求に係る保有個人情報について、そのすべての利用が違反していればすべての利用停止を、一部の利用が違反していれば一部の利用停止を行う必要があるということである。
また、例えば、利用目的外の利用を理由として、本人から保有個人情報の消去を求められた場合には、個人情報の適正な取扱いを確保する観点から、当該利用目的外の利用を停止すれば足りる。この場合、当該保有個人情報を消去するまでの必要はない。
5 「当該保有個人情報の利用停止をすることにより、当該保有個人情報の利用目的に係る事務の性質上、当該事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められるときは、この限りでない」とは、利用停止請求に理由があることが判明した場合であっても、利用停止を行うことにより保護される本人の権利利益と損なわれる事務の適正な遂行の必要性との比較衡量を行った結果、後者が優るような場合にまで利用停止を行う義務を課すことは適当でないため、当該事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる場合は、利用停止をする義務を負わないこととしたものである。
第2 運用
利用停止請求に理由があるかの判断は、当該実施機関の所掌事務、保有個人情報の利用目的及び本条例の趣旨を勘案して、事実を基に客観的に行われる必要がある。
第21条の6関係(利用停止請求に対する決定)
第1 趣旨
1 本条は、保有個人情報の利用停止請求があった場合において、請求のあった保有個人情報について実施機関が行う利用停止をする旨の決定又は利用停止をしない旨の決定(以下「利用停止決定等」という。)についての手続を定めたものである。
2 第1項は、実施機関は、保有個人情報の利用停止請求があった日の翌日から起算して30日以内に利用停止決定等をする義務があることを明らかにしたものである。
3 第2項は、利用停止する旨の決定をしたときは、当該請求に係る保有個人情報の利用停止をした上で、遅滞なく利用停止請求者に通知する義務があることを明らかにしたものである。
4 第3項は、利用停止をしない旨の決定をしたとき、遅滞なく利用停止請求者に利用停止をしない旨を通知する義務があることを明らかにしたものである。
5 第4項は、利用停止をしない旨の決定をしたときは、通知書にその理由を付記する必要があることを明らかにしたものである。
6 第5項は、期間延長及び意見聴取については、開示請求に対する決定の場合の規定を準用するものである。
第2 運用
1 実施機関の利用停止決定等は、郵便等により利用停止請求者に通知する。
2 利用停止をしない旨の決定をする場合に理由を付記しなければならないのは、決定権者の慎重かつ合理的な判断を確保するため及び処分の理由を相手方に知らせるためである。
理由の付記は、利用停止請求を拒否する決定を適法にするための要件であり、理由を付記していない場合又は付記された理由が不十分な場合は、瑕疵ある行政処分となる。したがって、利用停止請求を拒否する処分を行う場合には、利用停止をしない旨の理由を明確にしなければならない。
第22条関係(手数料)
第1 趣旨
1 第1項は、実施機関(都が設立した地方独立行政法人を除く。以下この条及び第24条の2第1項において同じ。)が行う保有個人情報の開示について、写しの交付に要する事務の対価を開示手数料として徴収することを定めたものである。
2 第2項は、開示請求者が開示決定を受けたにもかかわらず当該開示に応じない場合、実施機関が再度日時及び場所を指定し、開示に応ずるよう催告しても、開示請求者が正当な理由なくこれに応じないときは、開示したものとみなす。この場合において、保有個人情報の開示を写しの交付の方法により行うときは、開示手数料を徴収することを定めたものである。
(1) 「正当な理由」とは、天災、交通途絶、不慮の事故、病気などのやむを得ない事情をいう。
(2) 「開示したものとみなす。この場合において、開示請求者が保有個人情報の開示を写しの交付の方法により行うことを求めていたときには、別表に定める開示手数料を徴収する」とは、開示請求者が正当な理由なく開示に応じない場合、開示したものとみなして開示手数料を徴収する趣旨である。
3 第3項は、既納の開示手数料は原則として還付しないが、知事において特別の理由があると認める場合に還付することができることを定めたものである。
4 第4項は、以下の者から申請があったときに開示手数料を減額又は免除する趣旨である。
(1) 生活保護法(昭和25年法律第144号)第6条第1項の規定による同法の保護を現に受けている者
(2) 生活保護法第6条第2項の規定による同法の保護を必要とする状態にある者で、現にその保護を受けていない者
(3) 災害等不時の事故によって生計困難になった者
(4) その他知事において特別の理由があると認める者
第22条の2関係(都が設立した地方独立行政法人の開示手数料)
第1 趣旨
本条は、都が設立した地方独立行政法人は、自ら規則等を定め、開示手数料を徴収することを定めたものである。
第23条関係(苦情の処理)
第1 趣旨
1 本条は、実施機関は、実施機関の個人情報の取扱いに関する苦情について、迅速かつ適切に対応する義務があることを明らかにしたものである。
2 「実施機関の個人情報の取扱いに関する苦情」には、個人情報の利用・提供あるいは開示・非開示に係る苦情など様々な苦情があり得る。これらには、訴訟等によるよりも、むしろ苦情処理によって解決を図ることが適当なものも少なくないことから、本条を規定している。
第2 運用
1 苦情処理については、苦情の多くは、各実施機関における個人情報の日常的な処理、利用等との関連において発生するものであることから、当該実施機関の責任において適切かつ迅速な処理に努めるものとする。
2 苦情処理は、個別案件の解決を図るという側面に加えて、個人情報保護制度の改善・充実にも資するという側面もあるので、これについては、迅速かつ適切に対応しなければならないものとする。
第24条関係(審理員による審理手続に関する規定の適用除外)
第1 趣旨
行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第1項では、審理員の指名について、条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合、その適用を除外する旨定めている。
これは、優れた見識を有する委員で構成された委員会等の直接的・実質的な審理により、公正かつ慎重に判断されることが担保されている場合、例えば、審査会が諮問を受けて実質的な審理を行っている場合などは、十分な審理が確保されているとの理由により、審理員による手続は不要とされる趣旨であることから、本条例においても適用除外規定を定めたものである。
第24条の2関係(審査請求があった場合の手続)
第1 趣旨
1 本条は、実施機関がした開示決定等、訂正決定等若しくは利用停止決定等(開示請求、訂正請求又は利用停止請求がこの条例に規定する要件を満たさない等の理由により請求を拒否する決定を含む。以下この条において同じ。)又は開示請求、訂正請求若しくは利用停止請求に係る不作為について、行政不服審査法に基づく審査請求があった場合の救済手続を定めたものである。
2 実施機関がした開示決定等、訂正決定等若しくは利用停止決定等又は開示請求、訂正請求若しくは利用停止請求に係る不作為に対して審査請求があった場合において、審査庁は、本条第1項第1号及び第2号に該当する場合を除き、東京都個人情報保護審査会(以下「審査会」という。)に対する諮問を経た後、当該審査請求に係る裁決を行うとする趣旨である。
3 第1項第1号の「審査請求が不適法であり、却下する場合」とは、審査請求が、審査請求人としての要件に該当しない、期間経過後の審査請求であるなどの要件不備により却下される場合をいう。
4 第1項第2号は、審査請求人の主張を全面的に認めるものであり、審査会への諮問が不要であることを定めたものである。
5 「当該審査請求に係る保有個人情報の全部を開示する場合」とは、開示請求者が非開示とされた保有個人情報のうち一部についてのみ審査請求をした場合には、当該部分のすべてについて開示することを意味するものであり、審査請求人が非開示を争わなかった部分については、対象とならない。訂正決定等及び利用停止決定等についても同様である。
6 第2項は、審査請求に係る審査庁は、審査会に対し、速やかに諮問するよう努めることを定めたものである。
7 第3項は、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項において、審査庁が処分庁等以外である場合には処分庁等に弁明書の提出を求めることを、また、審査庁が処分庁等である場合には審査庁に弁明書を作成することを義務付けていることから、審査庁が審査会に諮問するに当たっては、当該弁明書の写しを添えて行うことを定めたものである。
第24条の3関係(都が設立した地方独立行政法人に対する審査請求)
第1 趣旨
本条は、都が設立した地方独立行政法人がした開示決定等、訂正決定等若しくは利用停止決定等又は当該地方独立行政法人に対する開示請求、訂正請求若しくは利用停止請求に係る不作為について、審査請求をすることができることを確認的に明らかにし、この場合の手続は第24条及び第24条の2の規定を準用することを定めたものである。
第24条の4関係(諮問をした旨の通知)
第1 趣旨
1 本条は、諮問庁が、審査請求人や行政不服審査法第13条第4項に規定する参加人などの関係者に対し、審査会に諮問した旨を通知しなければならないことを定めたものである。
2 第1号は、審査請求人及び当該審査請求に利害関係人として参加している参加人に対し、審査会に諮問をした旨を通知することとしたものである。
3 第2号は、開示請求者、訂正請求者又は利用停止請求者以外のものが審査請求を提起している場合、これらの者に対し、審査会に諮問した旨を通知することとしたものである。
4 第3号は、開示決定等について反対意見を提出した第三者が参加人となっていない場合であっても、当該第三者に対し、審査会に諮問した旨を通知することとしたものである。
第24条の5関係(第三者からの審査請求を棄却する場合等における手続)
第1 趣旨
1 本条は、第三者に関する情報が記録されている保有個人情報の開示決定又は開示しない旨の決定に対する審査請求について、開示決定に対する当該第三者からの審査請求を却下し、若しくは棄却する裁決を行う場合、又は開示請求に係る保有個人情報の開示決定等(条例第24条の2第1項第2号の開示決定等をいう。以下この条において同じ。)を変更し、当初の決定より開示する部分を拡大する裁決を行う場合に、当該裁決に係る保有個人情報に自己の情報が記録されている当該第三者に訴訟提起の機会を確保するための手続を定めたものである。
2 開示決定に対する第三者からの審査請求を却下し、又は棄却する場合、当該開示決定に係る保有個人情報が開示されることとなるが、その結果、当該第三者に回復不能の利益侵害が生じるおそれがあるため、当該第三者に訴訟を提起する機会を与えることが、裁判を受ける権利の保障の観点から望ましい。そこで、このような場合には、審査請求に対する裁決の日と開示をする日との間に2週間以上の期間を置き、当該第三者が訴訟を提起する機会を確保することとした(第1号)。
3 開示請求に係る保有個人情報の開示決定等に対する審査請求が行われた結果、当該審査請求に係る開示決定等を変更し、当初の決定より開示する部分を拡大する裁決を行うこととなった場合についても、開示決定を行う場合と同様に、第三者である参加人の権利保護を図る必要があることから、開示決定等を変更する裁決の日と開示をする日との間に2週間以上の期間を置くこととした(第2号)。
4 本条各号に該当する第三者に対し、開示する旨の裁決をした旨及びその理由並びに開示をする日を書面により通知しなければならない。
5 裁決により開示請求に係る保有個人情報の開示決定等が取り消された結果、処分庁が再度行う当該保有個人情報の開示決定は、条例第14条第1項に基づくものであるため、同条第8項が適用され、開示決定の日と開示をする日との間に2週間以上の期間を置くとともに、当該第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示をする日を書面により通知しなければならない。
第2 運用
保有個人情報の開示決定の取消しを求める審査請求が提起された場合、当該審査請求の提起自体には、行政不服審査法第25条第1項の規定により、当該開示決定に係る保有個人情報の開示に対する執行停止の効力はないが、同法第25条第2項又は第3項の規定により、処分の取消しを求める審査請求に併せて執行停止の申立てがあり、これを審査庁が認めたとき、又は審査庁が職権により執行停止を行ったときは、当該審査請求に対する裁決の日までは開示をしないこととする。
第25条関係(東京都個人情報保護審査会)
第1 趣旨
1 本条は、条例第24条の2(第24条の3において準用する場合を含む。)に規定する諮問に応じて審議し、また、その審議を通じて個人情報保護に関する事項について実施機関に意見を述べるため、知事の諮問機関としての審査会の設置を定めたものである。
2 審査会には、条例第25条の3第1項の規定により、非開示情報に係る保有個人情報が記録された公文書を直接見分けするいわゆるインカメラ審理の権限が与えられている。そこで、第4項は、委員の守秘義務について定めている。委員がこの守秘義務に違反した場合、条例第37条の規定により罰則が適用されることとなる。
3 「職務上知り得た秘密」とは、個人情報に限らず、一般行政情報で秘密に属するものも含む趣旨である。
4 第5項は、第三者機関である審査会が、開示請求又は訂正請求に対する決定の当否について審議し、併せてその審議を通じて個人情報保護制度の改善や個人情報保護の総合的な確立を図るために必要な事項について、実施機関に意見を述べることにより、本条例の公正又は民主的な運営を確保する趣旨である。
第25条の2関係(部会)
第1 趣旨
1 本条は、審査会の迅速かつ機動的な運用を図るため、審査請求案件について、一部の委員で構成する部会に審議させることができる旨を定めたものである。
2 「審査請求に係る事件について審議させることができる」とは、部会において調査、審議し、その結論をもって審査会の答申とすることができるという趣旨である。
第25条の3関係(審査会の調査権限)
第1 趣旨
1 本条は、審査会が審査のために必要な調査を行うことができる旨を定めたものである。
2 第1項は、実施機関が行った開示決定等の判断が妥当かどうか、当該保有個人情報が非開示情報に該当するかなどを確認するため、開示決定等の判断がなされた保有個人情報が記録された公文書を審査会が直接見ることができるインカメラ審理の権限を審査会に認めたものである。
3 第2項は、審査請求のあった開示決定等に係る保有個人情報が記録された公文書の提示を審査会から求められたときは、諮問庁は、これに応じなければならないことを定めたものである。
4 第3項は、審査請求のあった開示決定等に係る保有個人情報の量が多く、複数の非開示情報が複雑に関係する事案などの審議では、争点を明確にし、審理を促進する上で、審査請求のあった開示決定等に係る保有個人情報の内容を分類又は整理した資料(ヴォーン・インデックス)が有効であることから、審査会は必要と認めるときに、実施機関に対し、その指定する方法により、ヴォーン・インデックスを作成するよう求めることができることを定めたものである。
5 第4項の「その他必要な調査」とは、審査会が審議するために必要な実地調査を行うこと等をいう。
第2 運用
インカメラ審理手続における個人情報が記録された公文書の提示
審査会は、事案の審議に当たり、通常の場合は、当該保有個人情報が記録された公文書を直接見分した上で判断することとなると考えられる。しかし、審査請求人によっては、審査会の委員が当該保有個人情報が記録された公文書を閲覧することを望まない場合も想定されるので、事前に制度の趣旨等を十分説明するよう努めるなど、審査請求人の意向に配慮するものとする。
第25条の4関係(意見の陳述等)
第1 趣旨
1 第1項は、審査会は、審査請求人等(審査請求人、参加人又は諮問庁。以下同じ。)の審査会に対する口頭による意見陳述の申出を認めることができることを定めたものである。
2 第2項は、審査請求人又は参加人が口頭による意見陳述を行う際には、補佐人とともに出頭することができること、また、その場合、審査会による許可が必要であることを定めたものである。
3 第3項は、審査会は、審査請求人等の審査会に対する意見書又は資料の提出の申出を認めることができることを定めたものである。
「相当の期間」とは、意見書又は資料の提出のために社会通念上必要と認められる期間をいう。
4 第4項は、審査請求人等は、条例第25条の5の規定により審査会へ提出された意見書及び資料の閲覧等を求めることができるが、意見書及び資料が提出されたかどうかは審査請求人等には分からないので、意見書等が提出された場合、審査会は審査請求人等にその旨を通知するよう努めることを定めたものである。
第25条の5関係(提出資料の閲覧等)
第1 趣旨
1 第1項は、審査請求人等から審査会に提出された意見書又は資料は、当該意見書又は資料の提出人以外の審査請求人等の弁明・反論のために参考となる場合が多く、また、審査会における公平な審議にも資することから、審査請求人等が審査会に対して意見書又は資料の閲覧又は写しの交付を請求できることを定めたものである。
なお、本請求は審査会の調査審議手続における主張・立証の便宜のために認められるものであることから、答申が行われた後に閲覧等を求めることはできない。
(1) 「第三者の利益を害するおそれがある」とは、審査会に提出された意見書又は資料に、保有個人情報又は法人等に関する情報が記録されており、当該意見書等の閲覧又は写しの交付を認めることにより、当該個人又は法人等の権利利益を害するおそれがある場合をいう。
(2) 「その他正当な理由があるとき」とは、審査会に提出された意見書又は資料が不服申立人又は参加人に閲覧又は写しを交付されることにより、行政運営上支障を生ずる情報が記録されている場合等をいう。
2 第2項は、審査請求人等から提出資料の閲覧等の請求があった場合、第三者の権利利益を害することがないよう、意見書又は資料の提出人の意見を聴取する義務を定めたものである。ただし、提出人の意見を聴くまでもなく、閲覧等の請求に対する判断を審査会が行うことが可能な場合には、意見を聴く必要はない。
また、審査会は、閲覧等の請求に対する判断に際し、提出人の意見に拘束されない。
3 第3項は、審査会が第1項の規定により意見書又は資料を閲覧等に供するときは、事件の調査審議に支障が生じないよう、その日時・場所を指定することができることを定めたものである。ただし、審査請求人等が十分な主張・立証をすることができるようにするという本条の趣旨を損なわない範囲において指定しなければならない。
第25条の7関係(答申書の送付)
第1 趣旨
本条は、審査会が答申をしたときには、審査請求人及び参加人への手続保障の観点から、両者に答申書の写しを送付すること、また、審査会の説明責任の観点から、答申の内容を公表することを定めたものである。
第2 運用
答申の内容の公表については、答申書そのものを公表することを求めているものではないため、答申書に、一般に公表することが適当ではない部分が含まれている場合には、当該部分を除いた内容を公表することとする。
第25条の8関係(審議手続の非公開)
第1 趣旨
本条は、保有個人情報の開示決定等の当否、訂正決定等の当否及び利用停止決定等の当否を審査するという審査会の性格から、当該審査請求の審議の手続はすべて非公開とすることを定めたものである。なお、審査請求の審議の手続には、個人情報保護に関する事項について、実施機関に意見を述べるための手続は含まれないものである。
第2 運用
審査会が、個人情報の保護に関する事項について実施機関に意見を述べる場合は、審査会が非公開とする旨の議決をした場合を除き公開で行われることとなる。
第26条関係(東京都情報公開・個人情報保護審議会)
第1 趣旨
1 東京都情報公開・個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、情報公開条例第39条第1項により設置されるものである。
2 審議会は、個人情報保護に関する重要な事項について、実施機関の諮問を受けて審議し、又は制度運営について実施機関に意見を述べる役割を担う知事の附属機関である。
具体的には、本人からの収集の原則の例外、目的外利用・目的外提供、外部提供、本人に開示しない事項等の改善など制度運営上の重要事項についての審議及び制度のあり方についての建議を所掌するほか、審議会規則に基づき、実施機関が保有個人情報を取り扱う事務を開始する場合、事業者に対して個人情報保護法又は本条例に基づく勧告等を行う場合など、重要な制度運営について意見を述べることができるものである。
また、特定個人情報保護条例第23条に規定する特定個人情報保護評価に係る評価書に記載されている特定個人情報ファイルの取扱いに関して、実施機関の諮問を受けて審議するほか、実施機関が特定個人情報を取り扱う事務を開始する場合に意見を述べることができるものである。
第2 運用
審議会の組織及び運営については、審議会規則の定めによる。
第27条関係(事業者の責務)
第1 趣旨
1 本条は、事業者の責務について規定したものである。
2 個人情報保護法により、「個人情報取扱事業者(個人情報データベース等を事業の用に供している者であって、個人情報データベース等を構成する個人情報によって識別される特定個人の数の合計が過去六月以内のいずれの日においても5,000を超えない者を除外する。)」に対して、個人情報の取扱いについての具体的な義務が定められた。
しかし、個人情報保護は、事業者が取り扱う個人情報の量を問わず必要であることから、本条例では、取り扱う個人情報の量に関わりなく事業者が個人に関する情報の保護に係る都民の権利利益を侵害することのないよう責務を課している。
第2 運用
事業者が本条の責務を果たせるよう、条例第29条は知事に対して、個人情報の保護に係る普及促進に努めることを定め、更に第31条は国及び地方公共団体との協力を定めている。
第28条関係(東京都が出資その他財政支出等を行う法人の責務)
第1 趣旨
1 本条は、都が出資その他財政支出等を行う法人のうち、実施機関が定める法人については、都の施策に留意し、必要な措置を講ずるよう努めなければならないことを明らかにしたものである。
2 都が出資その他財政支出等を行う法人も、条例第27条の事業者に含まれ、同条の規定(事業者の責務規定)が適用されるものであるが、そのうち、都と極めて密接な関係を有し、その事務事業が都と代行・補完的関係にある団体は、実施機関に準じた公共性を有している。したがって、これらの団体が、その他の事業者よりも、より一層個人に関する情報の保護に努めるよう、特に本条を定めたものである。
3 「実施機関が定める法人」を定め、又は変更したときは保護規則第15条により、速やかに告示するものである。
4 「必要な措置」とは、この条例の保護施策の内容に十分留意しつつ、プライバシーポリシーの策定、内部管理規程の整備、個人情報保護の重要性を職員に認識させるため教育や研修、電子計算機処理に当たってハード面、ソフト面から安全対策を講じること等である。
第2 運用
知事が定めた法人に対する指導、助言は、当該法人に対する指導監督又は関与に関する事務の所管部門を通じて行うものとする。
第29条関係(個人情報の保護の普及促進)
第1 趣旨
1 第1項は、知事が、事業者の意識啓発その他必要な施策の普及促進に努めなければならない旨を規定したものである。
2 「その他必要な施策」とは、事業者が自主的に個人に関する情報の保護に努めるよう、指針(ガイドライン)を策定するほか、必要に応じて行う助言、指導等をいう。
3 第2項は、個人情報の保護を実効性あるものにするには、事業者側の意識啓発だけでなく、都民の側の意識啓発も不可欠であることから、知事は、事業者に対してだけではなく、都民に対して個人情報の保護に係る意識啓発その他必要な施策の普及促進に努めなければならない旨を規定したものである。
第29条の2関係(事業者の取り扱う個人情報についての苦情の処理)
第1 趣旨
1 個人情報保護法第13条は、事業者の個人情報の取扱いに関する苦情について、当事者間の解決を基本としつつ、国、地方公共団体、事業者、認定個人情報保護団体が有機的に連携し、複層的な苦情処理システムを構築するという考えに立って、地方公共団体が苦情の処理に努めるべき旨を定めている。本条は、都が苦情の処理に努める姿勢を明確にするために定めたものである。
2 「知事その他の執行機関」とは、知事、行政委員会、監査委員をいう。
第2 運用
苦情相談に係る事務処理については別に定める。
第29条の3関係(説明及び資料提出)
第1 趣旨
1 本条は、知事その他の執行機関が、前条の定める苦情の処理を適切に行い、個人情報の適正取扱いを確保するために、調査権限を定めたものである。
5,000人以下の個人情報データベースを取り扱う事業者については、個人情報保護法が定める、主務大臣による報告の徴収、助言、勧告及び命令の規定が適用されないため、本条例において本条から第29条の4までの事業者指導の規定を定めたものである。
2 事業者の個人情報の取扱いについて苦情相談があった場合で、当該事業者又は関係人から事情を聞くなどの調査をした結果、個人の正当な権利利益を侵害するおそれがあると認められるようなときは、本条が定める説明及び資料提出の求めを行うことになる。
3 「説明又は資料の提出を求めることができる」とは、事業者が説明や資料の提出を行うべき責務を有するという趣旨である。
第2 運用
第29条の3から第29条の4の規定に基づく事務処理については別に定める。
第29条の4関係(助言及び勧告)
第1 趣旨
1 本条は、前条の説明又は資料の提出要求に基づく調査等により、事業者が不適正な個人情報の取扱いを行っていると認められる場合で、その改善を行うよう指導を行ったにもかかわらず改善されないときに適用することとなる。
2 「不適正」とは、個人情報保護法に沿った措置がとられず、個人情報の取扱いが不正又は違法であることをいう。
3 「必要な限度」とは、個人情報の不適正な取扱いの改善に必要であると一般的に判断される範囲ということである。
4 「助言」とは、事業者による自主的な問題解決の手助けのための進言という趣旨である。
5 第2項は、知事その他の執行機関が、事業者に対して、個人情報の取扱いの是正を勧告することができることを定めたものであり、第1項に定める助言をしたにもかかわらず、個人情報の取扱いに改善が見られないと認められるときに適用されるものである。
6 「勧告」とは、自主的な解決を図るための進言にとどまらず、知事その他の執行機関の明確な意思として、事業者に対して個人情報の不適正な取扱いを是正するように勧め又は促すものである。
7 第3項は、知事その他の執行機関が勧告に係る事実に関する情報を都民に提供できることを定めたものであり、事実の公表は、都民に対して、事業者が行う又は行った個人情報の不適正な取扱いの事実を明らかにすることによって、被害の拡大を防止するために行うものである。
第2 運用
勧告をする場合は、審議会規則に基づき、原則として審議会の意見を聴くものとする。
第29条の5関係(適用除外)
第1 趣旨
1 本条は、報道機関、著述を業とする者、学術研究団体、宗教団体、政治団体がそれぞれの本来の活動の目的で行う個人情報の取扱いについては、第29条の3(説明及び資料提出)及び第29条の4(助言及び勧告)を適用しないことを定めたものである。
2 報道、著述、学術研究、宗教、政治の各分野においても、個人情報の適正な取扱いを確保することの必要性は一般の事業者と変わるものではないが、これらの分野については、憲法に保障する自由との関係から特に行政からの不当な干渉が排除されることが求められるため、適用除外を定めたものである。
3 適用除外に該当するのは、「次の各号に掲げる者」が「当該各号に規定する目的」で個人情報を取り扱う場合であり、「次の各号に掲げる者」であっても、「当該各号に規定する目的」以外の目的で個人情報を取り扱う場合は、適用除外とはならない。
4 第1号関係
(1) 「報道機関」とは、報道を業として行う者である。「放送機関、新聞社、通信社」は報道機関の例示であり、報道機関はこれに限らない。「報道を業として行う個人を含む。」は、フリージャーナリスト等を含むことを確認的に規定している。
(2) 「報道」とは、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。)をいう。
(3) 報道機関が行うものであっても、例えば、報道目的をまったく含まないカルチャーセンター用の個人情報の取扱いについては、適用除外とはならない。
5 第2号関係
(1) 「著述」とは、小説、詩、論文、評論等のジャンルを問わず、人の知的活動により、創作的な要素を含んだ内容を言語を用いて表現すること全てを含む。
(2) 「著述の用に供する目的」とは、著述を業とする者における、著述を目的とした取材から、執筆、編集、校正、印刷・製本、制作、刊行・発表に至る一連の活動全体に用いられる個人情報の取扱いが含まれる。
6 第3号関係
(1) 「大学その他の学術研究を目的とする機関又は団体」とは、私立大学、民間研究所等の学術研究を目的として活動する機関や「学会」等の団体をいう。
(2) 「学術研究」とは、学問分野であれば人文・社会科学であるか自然科学であるかを問わないし、基礎研究であるか応用研究であるかも問わない。
7 第4号関係
(1) 「宗教団体」とは、宗教法人法第2条で定義されている宗教団体(宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする、@礼拝の施設を備える団体(神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体)、又はA単位宗教団体を包括する団体(教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体))と同様である。ただし、同法に基づく認証を受けた者であるかどうかは問わない。
(2) 「宗教活動(これに付随する活動を含む。)」とされているが、「宗教活動」の概念自体は、宗教法人法における「宗教団体」の定義に照らせば、「宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること」を中心とする活動である。宗教団体が行う活動の中には、宗教団体としての中核に位置付けられる活動とまではいえないものの、その活動の副次的効果として教義を広める効果を期待して行われているものがある。これらの活動についても、宗教団体としての中核となる宗教活動からは切り離して関与することは適当でないことから、本号では、「宗教活動(これに付随する活動を含む。)」と規定した。
8 第5号関係
(1) 本号でいう「政治団体」は、政治資金規正法(昭和23年法律第194号)第3条に規定する「政治団体」と同様である。ただし、同法上の届出を行ったかどうかは問わない。具体的には、@政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体、A特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体、Bその他政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対すること、又は特定の公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することをその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体をいう。
また、こうした団体の活動と密接な関連を有する、政治上の主義又は施策を研究する団体や政党のために資金上の援助をすることを目的とする団体も、同法の適用上は「政治団体」とみなされる(政治資金規正法第5条)。
(2) 「政治活動」とは、このような政治資金規正法上の定義等に照らせば、@からBまでの活動が中心になると考えられる。しかし、政治団体が行う活動には、それ自体「政治活動」の中核として行われる活動ではないが、副次的に政治上の主張等を推進・支援する等の効果を期待して行われる活動がある。このため、宗教団体の場合と同様の考え方から、このような活動についても、政治目的を含む以上、適用外とすることが適当であることから、「政治活動(これに付随する活動を含む。)」と規定した。
9 本条の適用除外の範囲は、個人情報保護法第66条に定める同法第4章(個人情報取扱事業者の義務等)の適用除外と同じである。
第30条関係(他の制度との調整等)
第1 趣旨
1 第1項は、法令等に保有個人情報の閲覧若しくは縦覧若しくは謄本、抄本その他の写し等の交付、訂正又は利用の停止等の制度がある場合の調整について規定したものである。
2 一般的な公文書と異なり、独自の完結した体系的な開示の制度の下にある文書について認証のない写しの交付を認めることは、これらの文書に係る制度の趣旨を損なうことから、国においては、これらの文書については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号。以下「行政機関法」という。)は同一の方法による開示を行わない旨を定めており、条例においても同様の趣旨から適用除外とすることとした。
3 他の法令等の規定により、閲覧若しくは縦覧若しくは謄本、抄本その他の写し等の交付、訂正又は利用の停止等を行う主体には、当該実施機関のみならず、他の実施機関、国の行政機関、独立行政法人、地方独立行政法人、特殊法人、認可法人その他の主体も含まれる。
「その他の写し等の交付」の「等」とは、他の法令等の規定により交付される証明書などをいう。
4 第2項は、情報公開条例との調整を規定したものである。
5 第3項は、特定個人情報保護条例との調整について規定したものである。
特定個人情報の保護については、特定個人情報保護条例第1条第2項において、原則として同条例の定めるところによることとされており、保有特定個人情報に係る本人からの開示請求等については、同条例第26条以下で定められていることから、この条例を適用しないこととしたものである。
6 第4項は、統計法(平成19年法律第53号)及び東京都統計調査条例(昭和32年東京都条例第15号)(以下「統計法等」という。)において所要の措置を講ずるとされている統計調査等に係る個人情報との調整について規定したものである。
統計法等に基づく統計調査等に係る個人情報については、統計処理され、個人が識別されない形で使用されることが前提とされていること及び統計法等において秘密保持等の仕組みが存在し、厳しい管理の下に運用されるものであることなどから、条例を適用しないこととしたものである。
7 第5項は、図書館等で閲覧に供され、又は貸し出される図書、資料、刊行物等(以下「図書等」という。)に記録されている個人に関する情報と同一の個人情報を実施機関が保有する場合の調整について規定したものである。
既に公刊されているなど、都民が図書館等において自由に閲覧又は縦覧できる個人に関する情報と同一の個人情報については、この条例による開示の必要がないことなどから、この条例を適用しないこととしたものである。
「これと同様の状態」とは、図書等の複写物に記録された状態をいう。
第2 運用
図書館等で閲覧に供され、又は貸し出される図書等と同じ物を実施機関が管理する場合、その管理する図書等に記録されている状態等の個人情報については、この条例を適用しないものである。
第30条の2関係(適用除外等)
第1 趣旨
本条は、行政機関法及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成15年法律第61号)で、行政機関法第4章の規定を適用しないとされている個人情報については、条例第5章(保有個人情報の開示、訂正及び利用停止の請求等)の規定は適用しないことを定めたものである。
第2 運用
1 本条に該当するものとして次のようなものがある。
(1) 行政機関法第45条に規定する「刑事事件若しくは少年の保護事件に係る裁判、検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が行う処分、刑若しくは保護処分の執行、更生緊急保護又は恩赦に係る保有個人情報(当該裁判、処分若しくは執行を受けた者、更生緊急保護の申出をした者又は恩赦の上申があった者に係るものに限る。)」
これらの保有個人情報は、個人の前科、逮捕歴、勾留歴等を示す情報等を含んでおり、開示請求の対象とすると、前科等が明らかになる危険性があるなど、逮捕留置者、被疑者等の立場で留置所や監獄に収容されたことのある者等の社会復帰や更生保護上問題となり、その者の不利益になるおそれがあるからである。例えば、雇用主が、採用予定者の前科の有無やその内容をチェックする目的で、採用予定者本人に開示請求させる場合などが想定される。
(2) 漁業法(昭和24年法律第267号)第50条第4項に規定する「免許漁業原簿に記録されている保有個人情報」
(3) 刑事訴訟法第53条の2に規定する「訴訟に関する書類及び押収物に記録されている個人情報」
2 「訴訟に関する書類及び押収物」については、刑事司法手続の一環である捜査・公判の過程において作成・取得されたものをいう。
第31条関係(国及び地方公共団体との協力)
第1 趣旨
1 本条は、個人情報の保護を図るため、国及び他の地方公共団体等と協力するものとする旨規定したものである。
2 個人情報の保護の徹底は、東京都、都民、事業者それぞれの努力だけで足りるものではない。
例えば、個人情報が、都の区域を越えて利用されるなどの場合があるが、このような場合、国における広域的な措置が求められるとともに、国や他の地方公共団体の協力を得ることによって、はじめて真に総合的な保護が図られることになる。
更に、個人情報保護法第14条により、個人情報の保護に関する施策を講ずるにつき、国及び地方公共団体が相互に協力すべき旨が規定された。
このため、知事は、個人情報の保護を図るため、国や他の地方公共団体と連携協力することを定めたものである。
第2 運用
協力の内容としては、事業者が都の区域を超えて活動している場合等において、事業者の事業活動を把握するために、必要な情報を交換することや、苦情相談の事例から得られる知見を共有することなどがこれに当たる。
第32条関係(運用状況の公表)
第1 趣旨
1 本条は、個人情報保護制度の運用状況の公表に関する知事の責務を定めたものである。
2 都の個人情報保護制度の運用状況を都民に明らかにして透明性を高めることによって、個人情報保護制度の適正な運用を確保するものである。
第2 運用
公表する事項としては、保有個人情報取扱事務の届出件数、収集、目的外利用・目的外提供の状況、保有個人情報の開示・訂正・利用停止の請求件数、請求に対する開示・非開示件数、請求に対する訂正・非訂正件数、審査請求件数及びその処理状況、苦情の処理の状況などであり、東京都公報に登載すること等によって公表するものとする。
第33条関係(委任)
第1 趣旨
本条は、この条例を施行するに際して必要な事項を各実施機関がそれぞれ規則等により定めることとしたものである。
第2 運用
都民にとっては、各実施機関が定める内容は、統一性があることが望ましい。このため、この条例の施行に関し必要な事項を定め、又は変更しようとするときは、相互に十分連絡調整を行うものとする。
第34条関係
第1 趣旨
1 本条は、実施機関の職員等が、正当な理由がないのに、保有個人情報(個人の秘密に属する事項を含むものに限る。)を含む情報の集合物であって一定の事務の目的を達成するために特定の保有個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものを提供することを処罰するものである。
個人情報の保有は、実施機関による適正な都政の遂行、個人に対する的確な行政サービスの提供にとって不可欠なものである。他方、近年、実施機関における個人情報の電子計算機処理が急速に進展する中で、個人情報の漏えい等は、個人の権利利益侵害の危険性を一層増大させるだけでなく、都民の実施機関における個人情報の電子計算機処理に対する信頼を著しく損なわせ、ひいては適正な都政の遂行に重大な支障を生じさせるおそれもある。このため、本条は、一般的な守秘義務違反の罪(地方公務員法第60条第2号等)に加重して罰則を適用するものである。
2 構成要件
(1) 「実施機関の職員若しくは職員であった者、第8条に規定する受託事務に従事している者若しくは従事していた者又は指定管理者の管理する都の公の施設の管理事務に従事している者若しくは従事していた者」
受託事務等の従事者等を処罰の対象とするのは、実施機関が事務事業の実施に関し個人情報の取扱いを委託等している場合、個人情報の保護を徹底するには、受託事務等の従事者等に対しても、実施機関の職員と同様の厳しい規律を確保する必要があるためである。
過去に「職員であった者」及び「従事していた者」をも処罰の対象とする理由は、職を辞め、あるいは業務に従事しなくなった場合においても、在職又は従事中に取得した個人の秘密に属する事項が記録された電子計算機処理された保有個人情報の保護の必要性に変わりがないからである。
(2) 「正当な理由がないのに」
本条の罪は「正当な理由がないのに」提供したことを要件として成立する。正当な理由があるときは、本罪を構成しない。
(3) 「保有個人情報(個人の秘密に属する事項を含むものに限る。)を含む情報の集合物であって一定の事務の目的を達成するために特定の保有個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)」
ア 「個人の秘密」とは、個人に関する一般に知られていない事実であって、他に知られないことについて相当の利益を有するもの、すなわち、非公知性及び秘匿の必要性の二つの要素を具備しているものをいう。
「保有個人情報を含む情報の集合物であって一定の事務の目的を達成するために特定の保有個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの」とは、電子計算機を用いて検索することができるように、一定の基準に基づいて個人情報が集められたもの(以下「電子計算機処理された個人情報ファイル」という。)をいう。電子計算機処理された個人情報ファイルを対象としたのは、電子計算機処理の大量・高速処理、結合・検索の容易性といった特性から、いったん悪用された場合に被害が甚大となることに着目して、一般的な守秘義務違反より厳しく処罰することとしたものである。
イ 「その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む」と規定することにより、電子計算機処理された個人情報ファイルの記録媒体が複製又は加工されたものも本条の罪の対象となることを明確にしている。
「複製」とは、例えば、データベースをダウンロードして自己所有の光ディスクに複写することなどが想定される。また、「加工」とは、例えば、データベースの内容に変更を加え、データを並べ変えることや、選択的に抽出することなどが想定される。なお、加工したものも、特定の保有個人情報を電子計算機を用いて検索することができるよう体系的に構成されたものとしての実質を備えている必要がある。
(4) 「提供」
電子計算機処理された個人情報ファイルを第三者が利用できる状態に置く行為をいう。例えばネットワークを通じた提供や、光ディスク等の記録媒体による提供が考えられるが、パスワード等を第三者に渡して、電子計算機処理された個人情報ファイルを管理するシステムを直接操作させることも含まれる。また、稼動中のシステムを意図的に放置して他人の操作に任せるなど事実上第三者が利用できる状態にあれば、不作為によることもあり得る。
3 具体例
本条の罪の典型例としては、職員等が個人の秘密が記録されているデータベースを光ディスク等の記録媒体に複写して、不正に譲渡した場合が考えられる。
4 他罪との関係
本条の罪と他罪との関係は、次のとおりである。
(1) 本条の罪の対象となる実施機関の職員が一般職の地方公務員等である場合、地方公務員法の秘密漏洩罪(地方公務員法第60条第2号)等と本条の罪は、講学上の法条競合(特別関係)の関係と考えられ、本条の罪が成立するときは地方公務員法等の秘密漏洩罪は成立しない。
(2) 個人の秘密に属する事項が記録された電子計算機処理された個人情報ファイルは、通例では、業務に関して知り得た保有個人情報を含むため、そのような電子計算機処理された個人情報ファイルを自己又は第三者の不正な利益を図る目的で提供したときは、本条と第35条との観念的競合となる。
(3) 第36条の罪を犯して実施機関の外部から収集したものは、本条の電子計算機処理された個人情報ファイルには該当しないことから、これを他に提供しても本条の罪とはならない。
一方、第36条の罪を犯して実施機関の内部にある電子計算機処理された個人情報ファイルを収集し、これを他に提供した場合は、本条の罪も成立し、両罪は併合罪となる。
第35条関係
第1 趣旨
1 本条は、前条に規定する者が、保有個人情報を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用することを処罰するものである。
2 構成要件
(1) 「その業務に関して知り得た保有個人情報」
「業務」とは、過去に従事した業務か、現在従事している業務かを問わない。
保有個人情報の中には、個人の秘密に関わるもの、若しくは関わらないもの、又は電子計算機処理されているもの、若しくはされていないものなど、様々なものがあるが、本条においてはその内容・形態は問うていない。
(2) 「保有個人情報を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したとき」
本条の罪の対象は、個人の秘密に限られず保有個人情報と広いが、提供行為のうち、当罰性の高い行為である不正な利益を図る目的で行われるものに限定している。
「提供」は、第34条と同義である。
「盗用」とは、自己又は第三者の利益のために不法に利用することをいう。提供と異なり、保有個人情報の内容が、記録媒体の移転等により伝達されることを要件としていない。
3 具体例
本条の罪の典型例としては、実施機関の職員が、許認可等に係る個人の氏名、住所、電話番号等の情報が記載された名簿を、名簿業者に売却した場合などが考えられる。
4 他罪との関係
本条の罪と他罪との関係は、次のとおりである。
(1) 本条の罪の対象となる実施機関の職員が一般職の地方公務員等である場合、保有個人情報のうち個人の秘密に該当するものを自己又は第三者の不正な利益を図る目的で提供した場合は、地方公務員法の秘密漏洩罪等との観念的競合となる。
(2) 第36条の罪を犯して保有個人情報に該当する個人の秘密を収集して、その秘密(保有個人情報)を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供又は盗用したときは、両罪は併合罪となる。
第36条関係
第1 趣旨
1 本条は、実施機関の職員がその職権を濫用し、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集することを処罰するものである。
2 構成要件
(1) 「実施機関の職員がその職権を濫用して、収集したとき」「実施機関の職員」とは、第2条第3項と同義である。
本条は職権の濫用を要件としていることから、受託業務等の従事者を対象としていない。
「職権」とは、実施機関の職員である公務員が職務上有する一般的職務権限をいう。ここでいう「職権を濫用して、収集」するとは、一般的職務権限に属する事項について、職権を遂行するにつき、又は職権の行使に仮託して、実質的、具体的に違法、不当な収集をすることをいう。
「収集」とは、文書、図画、写真、フィルム又は電磁的記録を、集める意思をもって、進んで集め取る行為をいう。文書等を自己の所持に移すことが必要であり、単に読み又は見ることを含まない。人から収集する場合と、人を介しないで、電子計算機等から収集する場合の両方を含む。複数の職員が共用するキャビネット内の文書を取り出したり、共用データベースの端末を操作して電磁的記録を取り出す行為は、「収集」に当たる。
(2) 「その職務の用以外の用に供する目的」とは、当該職員に割り当てられた職務の用以外の用に供する目的をいう。「専ら」とは、収集目的のほとんどすべてが「その職務の用以外の用に供する目的」であることを意味する。
(3) 「個人の秘密」は、第34条と同義である。
3 具体例
本条の罪の典型例としては、職員が個人的興味を満たす目的で、自己の職務を装って、他人の健康診断結果を入手する場合が考えられる。
4 他罪との関係
公務員職権濫用罪(刑法第193条)との関係については、同罪は、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害することを構成要件としているため、公務員がその職権を濫用して、人を介しないで収集する場合は同罪の対象とならない。人を介して収集する場合は、同罪の対象となり得る。後者の場合、同罪と本条の罪は観念的競合となる。
第37条関係
第1 趣旨
本条は、条例第25条第4項の守秘義務規定に違反した審査会委員に対する罰則について定めたものである。
第38条関係
第1 趣旨
1 本条は、開示請求権の適正な行使を担保するため、偽りその他不正の手段により保有個人情報の開示を受けた者に対し、過料を科すものである。
2 「偽りその他不正な手段」とは、保有個人情報の開示を受ける手段で真実でない又は不正なものをいい、例えば他人の身分証明書等の使用により、他人に成りすまして、他人の情報の開示を受けることなどである。
3 本条の「過料」は、行政上の秩序違反行為に対する制裁としての秩序罰である。
保有個人情報の開示に当たって、適正な権利行使を担保することが本条の保護法益であり、また、保有個人情報の中には個人の秘密に係らないものもあることから、刑罰ではなく、秩序罰(過料)としたものである。
第2 運用
過料の処分に関する手続き及び過料の処分に関する不服申立てについては、地方自治法第255条の3の定めがある。