○東京都新型コロナウイルス感染症対策条例

令和二年四月七日

条例第五三号

東京都新型コロナウイルス感染症対策条例を公布する。

東京都新型コロナウイルス感染症対策条例

(目的)

第一条 この条例は、東京は日本の首都として政治、経済、文化等の中枢機能が集中している世界でも有数の大都市であること、都民の大部分が現在新型コロナウイルス感染症の免疫を獲得していないこと等から、新型コロナウイルス感染症が都内に急速にまん延し、かつ、これにかかった場合の病状の程度が重篤となるおそれがあり、また、都民生活及び都民経済に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑み、東京都新型コロナウイルス感染症対策本部が設置された場合における新型コロナウイルス感染症対策等を定めることにより、新型コロナウイルス感染症のまん延の防止に関する法律と相まって、新型コロナウイルス感染症に対する措置の強化を図り、もって都民の生命及び健康を保護し、並びに都民生活及び都民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 新型コロナウイルス感染症 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第七項第三号に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。

 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部 知事が新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号。以下「法」という。)第二十二条第一項に基づき設置する都道府県対策本部をいう。

 新型コロナウイルス感染症対策 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部が法第二十二条第一項の規定に基づき設置された時から、法第二十五条の規定に基づき廃止されるまでの間(以下「本部設置期間」という。)において、東京都(以下「都」という。)が法令等の規定により実施する措置をいう。

(令二条例八二・令三条例五七・一部改正)

(都の責務)

第三条 都は、新型コロナウイルス感染症対策を的確かつ迅速に実施し、及び都の区域において関係機関が実施する新型コロナウイルス感染症に係る措置を総合的に推進する責務を有する。

2 都は、新型コロナウイルス感染症対策を実施するに当たっては、国、他の地方公共団体並びに指定公共機関(法第二条第七号に規定するものをいう。)及び指定地方公共機関(同条第八号に規定するものをいう。)と相互に連携協力し、島しょ等の地域の特性にも配慮しながら、その的確かつ迅速な実施に万全を期さなければならない。

(令二条例八二・令三条例五七・一部改正)

(都民及び事業者の責務)

第四条 都民及び事業者は、新型コロナウイルス感染症の予防及び感染の拡大の防止に努めるとともに、新型コロナウイルス感染症対策に協力するよう努めなければならない。

2 事業者は、新型コロナウイルス感染症のまん延により生ずる影響を考慮し、その事業の実施に関し、適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

(令三条例五二・令三条例五七・一部改正)

(体制の整備等)

第五条 都は、新型コロナウイルス感染症の検査(検体の採取を含む。以下単に「検査」という。)を円滑に行うことができるよう、検査の実施体制の整備に努めるものとする。

2 都は、患者等(新型コロナウイルス感染症の患者、疑似症患者(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第十項に規定する者をいう。)及び無症状病原体保有者(同条第十一項に規定する者をいう。)をいう。以下同じ。)に必要な医療を安定的に提供できるよう、新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制を確保するとともに、必要な医療用資器材等の備蓄及び整備に努めるものとする。

(令二条例九九・追加、令三条例五二・令三条例五七・一部改正)

(宿泊療養施設の確保等)

第五条の二 都は、新型コロナウイルス感染症の発生状況等を踏まえ、患者等が療養に専念することができるよう、宿泊療養施設の確保に努めるものとする。

2 都は、宿泊療養施設に入所する患者等に対して、医師、看護師等による健康管理を行うための体制の整備に努めるものとする。

(令三条例五二・追加)

(自宅療養者に対する支援)

第五条の三 都は、居宅等において療養する患者等に対し、その居宅等の所在地を管轄する保健所と協力して、居宅等において療養するために必要な生活物資の供給及び健康管理を行うための体制の整備に努めるものとする。

(令三条例五二・追加)

(保健所の機能強化)

第五条の四 都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況に応じて、適切な新型コロナウイルス感染症対策を実施できるよう、必要な公衆衛生医師(保健所において公衆衛生に従事する医師をいう。)の確保に努めるものとする。

2 都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況に応じて、特別区又は保健所を設置する市(以下「保健所設置市」という。)に対し、当該特別区又は保健所設置市が適切な対策を実施できるよう職員の派遣等必要な支援に努めるものとする。

(令三条例五二・追加)

(情報の提供等)

第六条 都は、都民が自ら新型コロナウイルス感染症の予防及びまん延の防止のための対策を適切に講ずることができるよう、新型コロナウイルス感染症の発生状況、動向及び原因に関する情報並びに新型コロナウイルス感染症の予防及びまん延の防止に係る施策に関する情報の提供に努めるものとする。

2 都は、患者等が、多数の者の利用する施設を利用し、又は多数の者の参加する催物等に参加していたことが判明した場合で、新型コロナウイルス感染症を当該患者等から他人に感染させるおそれのある期間に当該患者等と接した者を把握できておらず、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止するため特に必要があると認めるときは、都民が検査を受ける等の行動をとることができるよう、当該施設又は催物等の名称、当該利用又は参加の時期その他の新型コロナウイルス感染症のまん延の防止のために必要な情報を公表することができる。ただし、当該情報の公表に当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない。

3 都は、前二項の目的を達成するため、新型コロナウイルス感染症の発生状況、検査の実施状況、病床稼働状況等の把握について、特別区又は保健所設置市の長、医療機関等の協力を求めるものとする。

(令二条例九九・追加、令三条例五二・一部改正)

(都民等の感染拡大防止措置)

第七条 都民は、本部設置期間において、知事又は特別区若しくは保健所設置市の長の求めに応じて、必要な検査を受けるよう努めなければならない。

2 患者等は、新型コロナウイルス感染症のまん延の防止の観点から、本部設置期間において、知事又は特別区若しくは保健所設置市の長の求めに応じて、医療機関に入院し、宿泊療養施設に入所し、又は当該患者等の居宅等において療養し、みだりに外出しないよう努めなければならない。

3 患者等は、本部設置期間において、知事又は特別区若しくは保健所設置市の長の求めがあったときは、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止するために必要な調査に協力するよう努めなければならない。

4 事業者は、本部設置期間において、知事又は特別区若しくは保健所設置市の長の求めがあったときは、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止するために必要な調査に協力するとともに、当該事業者と関係があり、かつ、感染のおそれのある者に対して検査への協力を促すよう努めなければならない。

(令二条例九九・追加)

(ガイドラインの遵守等)

第八条 事業者は、本部設置期間において、都、国、特別区、市町村及び事業者が加入している団体等が定めた新型コロナウイルス感染症のまん延の防止のための指針(以下「ガイドライン」という。)を遵守するよう努めなければならない。

2 ガイドラインを作成した者は、当該ガイドラインを公表するとともに、その対象となる事業者に対し当該ガイドライン及び次条第一項に規定する標章を周知し、必要に応じて、当該ガイドラインの見直しを行うよう努めなければならない。

(令二条例八二・追加、令二条例九九・旧第五条繰下)

(標章の掲示等)

第九条 劇場、飲食店その他の集客施設を運営する事業者は、本部設置期間において、施設の入り口等利用者の見やすい場所にガイドラインに定める措置を遵守していることを示す知事が別に定める標章(以下単に「標章」という。)を掲示するよう努めなければならない。

2 催物等を主催する者は、本部設置期間において、当該催物等の実施に当たり、開催場所の入り口等来場者の見やすい場所に標章を掲示するよう努めなければならない。

3 都民は、新型コロナウイルス感染症の予防及びまん延の防止の観点から、施設の利用及び催物等への参加に当たっては、標章が掲示されている施設の利用等に努めなければならない。

(令二条例八二・追加、令二条例九九・旧第六条繰下)

(通知サービス等の活用)

第十条 都民及び事業者は、新型コロナウイルス感染症のまん延の防止の観点から、本部設置期間において、施設、店舗等で新型コロナウイルス感染症の感染者が集団的に発生した場合等にインターネットを通じて通知されるサービス等の活用に努めなければならない。

(令二条例八二・追加、令二条例九九・旧第七条繰下)

(審議会の意見)

第十一条 知事は、東京都新型コロナウイルス感染症対策本部の長が法第二十四条第九項の協力の要請その他の新型コロナウイルス感染症対策を実施するときは、必要に応じ次条第一項に規定する審議会の意見を聴くものとする。

2 知事は、法第三十一条の六第一項若しくは第二項の規定による要請若しくは同条第三項の規定による命令又は法第四十五条第一項若しくは第二項の規定による要請若しくは同条第三項の規定による命令を行おうとするときは、あらかじめ、次条第一項に規定する審議会の意見を聴かなければならない。

(令二条例八二・旧第五条繰下、令二条例九九・旧第八条繰下、令三条例五七・一部改正)

(東京都新型コロナウイルス感染症対策審議会)

第十二条 本部設置期間において、新型コロナウイルス感染症対策を総合的かつ効果的に推進することを目的に、専門的な見地から調査審議するため、知事の附属機関として、東京都新型コロナウイルス感染症対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、新型コロナウイルス感染症に関し識見を有する者のうちから、知事が任命する委員五人以内をもって組織する。

3 審議会の委員は、審議会が存続する間、その任にあるものとする。

4 審議会は、特定の事項を調査審議するため必要があると認めるときは、専門委員又は部会を置くとともに、関係者から意見を聴くことができる。

5 委員及び専門委員は、非常勤とする。

6 第二項から前項までに定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、知事が定める。

(令二条例八二・旧第六条繰下・一部改正、令二条例九九・旧第九条繰下)

(都民及び事業者への支援等)

第十三条 知事は、新型コロナウイルス感染症対策を実施するに当たって、都民及び事業者に対し、必要な支援を行うよう努めるものとする。

2 都は、新型コロナウイルス感染症対策に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(令二条例八二・旧第七条繰下、令二条例九九・旧第十条繰下)

(基本的人権の尊重)

第十四条 都民の自由と権利が尊重されるべきことに鑑み、新型コロナウイルス感染症対策を実施する場合において、都民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型コロナウイルス感染症対策を実施するため必要最小限のものでなければならない。

(令二条例八二・旧第八条繰下、令二条例九九・旧第十一条繰下)

(差別の禁止)

第十四条の二 都民及び事業者は、患者等、医療従事者、帰国者、外国人その他の新型コロナウイルス感染症に関連する者に対して、り患していること又はり患しているおそれがあることを理由として、不当な差別的取扱いをしてはならない。

2 都は、前項に規定する不当な差別的取扱いについて、その防止のための普及啓発活動を行うとともに、その解消のための相談体制を整備するものとする。

3 都は、第一項に規定する不当な差別的取扱いについて、国の人権擁護に関する制度等と連携して、実効性ある人権侵害の救済が図られるよう努めるものとする。

(令三条例五二・追加)

(委任)

第十五条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、東京都規則で定める。

(令二条例八二・旧第九条繰下、令二条例九九・旧第十二条繰下)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和二年条例第八二号)

この条例は、令和二年八月一日から施行する。

(令和二年条例第九九号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和三年条例第五二号)

この条例は、令和三年四月一日から施行する。

(令和三年条例第五七号)

この条例は、公布の日から施行する。

東京都新型コロナウイルス感染症対策条例

令和2年4月7日 条例第53号

(令和3年6月14日施行)

体系情報
第1編 規/第3章 行政組織/第4節 災害対策
沿革情報
令和2年4月7日 条例第53号
令和2年7月30日 条例第82号
令和2年10月15日 条例第99号
令和3年3月31日 条例第52号
令和3年6月14日 条例第57号